岡山理科大学獣医学部の畑明寿教授らは、山田養蜂場(岡山県鏡野町)の健康科学研究所と共同で、ブラジル産グリーンプロポリスの特長的な成分である「アルテピリンC」が脳へ分布されることを明らかにしたと発表しました。アルテピリンCは認知機能に対する機能性が知られていて、今後、有用性研究への期待が高まったとしています。
研究グループは、健康なマウスを3つのグループに分け、ブラジル産グリーンプロポリスを0.5%混ぜた通常食、1.0%混ぜた通常食、何も混ぜていない通常食をそれぞれ2週間、自由に摂取させました。そして、脳への分布を確認したところ、通常食だけのグループは、アルテピリンCが3.4pmol/g(ピコモル=1兆分の1モル)しか検出されなかったのに対し、0.5%摂取のグループは33.1 pmol/g、1.0%摂取のグループは47.6 pmol/gの濃度でアルテピリンCを有意に検出したということです。通常食に混ぜて摂取させたグループは、脳以外に腸や肝臓、腎臓などでもアルテピリンCを検出したということです。
プロポリスは、ミツバチが集めた成分を巣に蓄えてできる物質で、健康食品として人気があります。ブラジル産グリーンプロポリスに含まれるアルテピリンCには、神経細胞同士の情報伝達に重要な役割を果たす神経突起を形成・修復する作用があることなどが明らかになっています。しかし、口から摂取しても機能を発揮するには脳に運ばれる必要があり、これまで脳への分布を調査した研究報告はほとんどありませんでした。
山田養蜂場は「予防医学の観点からプロポリスやローヤルゼリーの有用性の研究をすすめ、健康寿命の延伸に貢献していく」としています。