岡山県吉備中央町の浄水場から有害性が指摘されている有機フッ素化合物「PFAS」が検出された問題です。町側が18日、健康への影響に関する分析の途中経過を住民に説明し、「暫定の結果」とした上で「明らかな影響は見られなかった」との見解を示しました。
(宮川周三リポート)
「住民説明会が始まりました。まずは専門家が健康への影響についての分析結果を報告しています。その後、質疑応答が行われますが、そちらは非公開です」
この問題は、2020年から3年間、岡山県吉備中央町の円城浄水場から国の暫定目標値を超える有機フッ素化合物「PFAS」が検出されたものです。
町は2024年11月と12月に公費で血液検査を行い、住民ら709人の血中濃度を調べました。このうち9割近くがアメリカの学術機関の指針で健康に影響するリスクが高まるとされている数値を大幅に超えていました。
住民説明会は2025年2月に続き2回目で、データを分析している岡山大学大学院の頼藤貴志教授が約60人の住民に対し、血液検査と健康調査票の分析の途中経過を報告しました。
頼藤教授によりますと浄水場の水を飲んだ人と飲んでいない人では脂質や肝機能の数値に明らかな差がなかった他、子どもの早産や低体重児の割合も明らかな差がありませんでした。
また、PFASの代表的な物質、「PFOA」の血中濃度と健康指標に明らかな関連は見られませんでした。
ただし、水を飲んだ量や年齢、性別などを考慮していないため、頼藤教授は「今後、詳細な分析が必要だ」と強調しました。
(岡山大学大学院/頼藤貴志 教授)
「あくまでも暫定の結果でしかないのでこれで何かを結論付けるものではないと思う。今後、さらに検討していくためにはデータのさらなる分析と既存資料の利用と新たな調査の検討ということかと思います」
(出席した住民は―)
「この結果をもってして『全く因果関係がない、健康に影響がない』とは思えない」
「決定的な安心につながるような分析結果だったのかと疑問に思ったりしている」
(円城浄水場PFAS問題有志の会/小倉博司 代表)
「(町は)聞き取り調査も含めてもっと能動的に動くべきだと申し述べました」
(吉備中央町/山本雅則 町長)
「調査については継続的にやるべきだと思っています。その予算は当然組みます。不安を0に取ることはできません。しかし、少しでも軽減できることはやっていこうと思います」