暮らしに密着した経済の話題を解説します。
2025年の記録的な猛暑は、私たちの生活にさまざまな影響を与えています。親子の過ごし方の変化や食卓への打撃、そして専門家が「猛暑インフレ」と呼ぶほど暑さで家計の負担が増えています。
まずは、夏休み中の親子らの過ごし方に変化です。屋内施設が好調です。
猛暑で“屋内施設”が人気
(松木梨菜リポート)
「きょうは平日ですが、夏休み中ということもあって親子らでにぎわっています」
岡山市北区のイオンモール岡山はこの夏、来館者が増えました。
(来館者)
「昔みたいに外で遊ぶでことがないかもしれないですね」
「中のお店で遊ぶことが多いので、そこで涼んで遊ぶのが一番いいなって」
(イオンモール岡山/藤本康久ゼネラルマネージャー)
「外気も高いというところで、少しでも涼しいところ屋内で過ごしたいという。売り上げも増えております」
8月の売り上げは2024年と比べて8%上がったそうです。
イオンモール5階にある体操教室。夏休み中の子どもたちでにぎわっていました。
(ネイス体操教室イオンモール岡山校/大治諒太郎 店長)
「昨年と比べて1.2倍ぐらいは会員様も増えています。暑くて外で遊べないので、しっかりと体操教室で体を動かしてもらえるとうれしいです」
月曜日と木曜日以外の週5日、2~12歳までを対象にレッスンしています。
(体操教室に通う子ども[4歳])
「楽しかった。鉄棒」
「トランポリン。ジャンプ~」
(保護者)
「暑すぎて外に連れて行ってあげられないから、こんなに体を動かせるのは魅力的ですね」
「遊べる場所も少なくなっていますし、暑いので、いっぱい遊ばせてあげられるこういうところがあって助かっています」
暑さを避けて子どもが利用できる屋内施設に人が集まっています。
海水温が上がり…魚も値上がり
続いては、食です。水産業では、海水温が上がり大きな影響が出ています。
(松木梨菜リポート)
「こちらのオレンジ色のホースからエサが出ています。1つのいけすに3000匹がいるというということです。いきおいよく食べていて、ものすごい水しぶきがたっています」
香川県のブランド魚・オリーブハマチ。オリーブの葉を粉末にしたものをエサに混ぜて育てています。えさ代は物価高騰の影響を受け、1日100万円以上です。
通常のハマチと比べてさっぱりしていて、刺身はもちろん、ブリしゃぶ用としても人気で、例年4万匹を香川県内や東京・大阪などに出荷しています。
こうした中、2025年は……
(岡田水産/岡田将平 社長)
「高水温のせいで生育不足は若干はありますけど。食べても水温が高いせいでカロリーの消費が多くて身にならない」
稚魚が少なかったことや、この猛暑の影響もあり出荷量が例年より3割ほど減るとみられ、価格は例年より最大で3割ほど上がりそうです。出荷も2週間ほど遅れ、10月3日を予定しています。
(岡田水産/岡田将平 社長)
「高くて普段より手が出しにくいかもしれないですけど、一生懸命おいしく育てるのはやらしてもらいますので、食べてもらえたらなと」
「猛暑インフレ」で家計に大打撃
食材の値上がりは家計に大きな打撃となっています。
記録的な暑さで値上がりする「猛暑インフレ」。電気代なども合わせた1カ月の生活費はどれくらい上がっているのでしょうか。
スーパーではキュウリやトマトなどの夏野菜に異変が。
(グランドマート/岡本和恵 取締役)
「果菜類は気温が高いと成熟しづらかったり、温度が高すぎてナス・トマト・キュウリなどが値上がり傾向にあります」
猛暑の影響で例年より価格が2割~3割高くなっています。
(グランドマート/岡本和恵 取締役)
「岡山県産のものが打撃を受けていて、産地リレーがうまくいっていないので、雨も少ないので気温が落ち着くまで(高値は)続くんじゃないかなと思います」
この他、豚肉の原価は4割アップ、直接農家から仕入れるなどして企業努力で価格を据え置いています。この状態は今後もしばらく続くとみられます。
(グランドマート/岡本和恵 取締役)
「これだけ暑いと豚がえさを食べなくて生育できないので、流通量が減ってしまうところがあります。暑さが落ち着いて生育まで時間がかかると思いますので、野菜より長引くと思います」
消費者は―
(買い物客)
「半額になってたんで買ったんです。全体的に高くなってますよね、食費も」
専門家「特売日やタイムセールの活用を」
記録的な暑さでさまざまなものの価格が上がっている状況に専門家は―
(第一生命経済研究所/柏村祐 主席研究員)
「まさに猛暑インフレと考えていいと思います」
専門家の試算によると、4人家族の一般家庭では電気代が5000円~1万円アップ、食費は8000円~1万円高くなり、最大で2万5000円家計の負担が増えるとしています。
今後、私たちができる暮らしへの対策とは?
(第一生命経済研究所/柏村祐 主席研究員)
「スーパーで特売日を狙っていくとか、夕方とか夜、タイムセールですね。そういうものをうまく使って賢く食料品を買っていく。節約志向とか代替品を模索する。行動変容として起こっていくと思います」
帝国データバンクが25日に発表した「この夏の家計消費支出」の試算です。
東京の場合なんですが、平均最高気温が平年通りだった場合と比べると、消費支出は約772億2300万円増え、1世帯当たりでは月平均で3512円増えています。
「食料品」は約192億円の増加です。
喫茶代などの外食は約86億円増、飲料は約71億円増、アイスクリームなどの菓子類は約51億円増。一方で魚介類は約52億円減。
帝国データバンクによりますと、外出時の喫茶代やアイスクリーム、ビールなどの消費が増えた一方、火を使った調理が減少したことで魚介類の消費が減っています。
生活をも変えてしまうこの暑さ、いつまで続くのでしょうか。
(2025年8月27日放送「News Park KSB」より)