16世紀から17世紀の画家エル・グレコの傑作「受胎告知」。岡山県倉敷市の大原美術館のシンボルともいえるこの名画が約65年ぶりの修復を終え、21日、お披露目されました。
修復を終えたエル・グレコの傑作「受胎告知」。倉敷市の大原美術館で修復後の姿がお披露目され、さっそく訪れた人たちが目を凝らして鑑賞しました。
「受胎告知」は、聖母マリアが「イエス・キリストを身ごもった」と大天使ガブリエルから告げられる聖書の一場面を描いています。
大原美術館の礎となるコレクションを収集した洋画家の児島虎次郎が、1922年にパリで買い付けました。
エル・グレコが描いた「受胎告知」は、過去の修復によって一部、描き足された箇所があることが、X線などを使った分析で分かっています。
大原美術館は、作品をエル・グレコが描いた本来の姿に戻すため、スペインのプラド美術館から専門家を招き、2025年7月から修復を行いました。
例えば、聖母マリアの足元の白い布は、描き加えられた箇所の絵具を取り除くなどし、オリジナルの姿に近づけました。
(大原芸術財団 研究員・学芸員/大塚優美さん)
「グレコが描いた当初の描き方がよみがえるような修復をしていただけたので、エル・グレコ自身にも喜んでもらえていたらうれしい」
大原美術館は「プレ再展示」として、2025年12月21日まで修復後の「受胎告知」を展示します。
その後、大阪の美術館に貸し出した後、2026年4月以降に正式に展示をするとしています。