ドイツで亡命希望者の入国を事実上禁止するなど、移民対策の大幅な規制強化に関する決議が僅差で可決されました。主要政党の提案に極右政党が協力する異例の展開となりました。
ドイツ連邦議会で29日、移民の規制強化を示した決議が賛成348票、反対345票、棄権10票の僅差で可決されました。
決議には「亡命希望者を含む、有効な書類を持たない移民の入国阻止」や「不法移民の拘束や強制送還」「国外退去を命じられた人物の出国までの無期限収容」などが定められています。
野党第1党で中道右派の「キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)」が提案した決議に「移民排斥」を掲げる極右政党「ドイツのための選択肢」(AfD)などが賛成しました。
この決議に拘束力はありませんが、主要政党の提案に極右政党が協力するのは異例です。
ドイツでは来月23日に総選挙が予定されていて、移民対策は最大の争点の1つです。
公共放送の世論調査では、CDU/CSUが約30%の支持率で1位になっています。AfDは約21%の支持率で2位です。
ショルツ首相が率いる中道左派の与党、社会民主党(SPD)は約16%で3位となっています。
ロイター通信によりますと、CDUのメルツ党首はEU(ヨーロッパ連合)圏内などでの自由な移動を保障する「シェンゲン協定」からの離脱を要求していて、首相に選出されれば就任初日にすべての国境で入国審査を命じると宣言しています。
ドイツでは不法移民関連の事件が増加していて、今月22日にも南部のバイエルン州で亡命申請を却下された後、国内にとどまっていたアフガニスタン出身の男が幼稚園児らを刃物で襲い、2人が死亡しました。