ドイツの上院にあたる連邦参議院が国防費などの増額のため財政規律を緩和する憲法改正案を可決し、法制化が決まりました。
連邦参議院は21日、国防費などを大幅に増額するため財政規律を緩和する憲法改正案を3分の2以上の賛成で可決しました。
改正案は下院にあたる連邦議会で18日に通過していて、法制化が決まりました。
この改正案はロシアの脅威を念頭に、ドイツとヨーロッパの安全保障を強化するため、先月の総選挙で勝利したキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)の党首で新首相への就任が確実視されているメルツ氏が主導しました。
これまでドイツ憲法では財政赤字をGDPの0.35%未満に抑えるとする「債務ブレーキ」が定められていましたが、改正案ではGDPの1%を超える国防費が「債務ブレーキ」の対象から外れます。
また、インンフラ整備や気候変動対策のために5000億ユーロ、日本円で約80兆円の特別基金も創設されます。
ドイツでは1920年代のハイパーインフレがナチス台頭の一因となったことなどから財政規律を重んじてきましたが、今回の憲法改正は大きな政策転換となります。