鹿児島県を襲った記録的な大雨では、冠水した道路で車の立ち往生が相次ぎました。ドライブレコーダーに記録された立往生の一部始終から、大雨のなか運転する危険性が浮き彫りになりました。(8月9日OA「サタデーステーション」)
■立ち往生の一部始終 ドラレコ映像に
8日、全国で今年初の大雨特別警報が発表された鹿児島県霧島市。道路の冠水による車の立往生が相次ぎました。実際に車に閉じ込められた男性が、その危険性を訴えたいと取材に応じました。
車に閉じ込められた男性 「一瞬に車が浮いたような感じがして、 その後いくら踏んでも全くタイヤが回らないような感じになって、左に流されていった」
ドライブレコーダーには、立往生の一部始終が記録されていました。
8日午前3時ごろ、仕事を終えた男性は、車で家路につきました。まだ、大雨特別警報は出ておらず道路の冠水もみられません。しかし、その後、雷で空が明るくなった瞬間、周辺の状況が明らかになります。一帯が冠水していました。
ドライブレコーダーに記録された男性の声 「止まるかもしれん、がんばれ。がんばった、ありがとう」
いったん、冠水地帯を抜けたと思いきや、すぐに、次の冠水地帯が目の前に現れます。そして…
ドライブレコーダーに記録された男性の声 「おいおいおいおい、マジかよ。なんでこんな浸かるんかよ」
水はフロントガラスに迫る高さにまで迫っていました。ワイパーは動いていますが、エンジンが止まりました。
車に閉じ込められた男性 「座っている椅子の高さぐらい、だから腰ぐらいまでは来ていた感じですね、水が」
自力で脱出を試みますが、ドアが開かず警察に電話。
ドライブレコーダーに記録された音声 警察「車がまったく動かない状況?」 男性「まったく動かなくなりました」 警察「どこまで浸かっていますか?」 男性「車の半分の高さまで浸かっていますね」 警察「最悪、窓を開けて、窓から出てローソンの駐車場まで避難出来ますか?」 男性「ちょっと水…、何とかできないことはないと思います」
車に閉じ込められた男性 「警察も救急隊も全く対応できませんということで。同じようなケースが多すぎて、と」
男性は、窓を開けるなどして何とか脱出しました。
車に閉じ込められた男性 「いつも通っている道で、ここ(立往生した場所)が川(の近く)ということも、全く認識していなかったので、まさかここだけこんなに水かさがあるとはっていうところですね。1回ちょっと車が浮くような感覚があったんですけど、気づいて避難できてれば」
■西郷隆盛ゆかりの温泉郷 観光に打撃
広い範囲が浸水した霧島市。片づけに追われていました。
日当山無垢食堂 吉川貴弘支配人(8日 霧島市) 「全部倒れてしまって。あそこにちょっと跡がついていると思うんですけど、あの高さまで水がきていたみたいで。ほぼほぼ廃棄ですね。全滅かなと」
西郷隆盛ゆかりのこちらの観光施設には、お盆で多くのお客さんが訪れるはずでした。
日当山無垢食堂 吉川貴弘支配人(8日 霧島市) 「予約の伝票などとかをこちらに置いてたんですけど、水で」
お弁当などの予約が多く入っていましたが、予約のリストが流されてしまい確認できない状況に。
日当山無垢食堂 吉川貴弘支配人(8日 霧島市) 「厨房の設備、フライヤーだったりガスコンロだったりとかも全部水につかっちゃって。食洗機とかもそうですね。だからこの辺まで(水が)来たのかな」
営業再開のめどは立たないといいます。
日当山無垢食堂 吉川貴弘支配人(8日 霧島市) 「もう本当にゼロからもう1回お店を作り直すぐらいの感じになるのかな。ちょっと時間がかかりそうだなと」
霧島市では今も一部地域で断水が続いており、給水所には多くの人の姿が。大雨により送水管が破損したことなどで、県は、断水は最大で4万戸にのぼる可能性があるとし、復旧は未定としています。