瀬戸内海の「サワラ」を増やすために、香川県は20年以上前から「サワラの人工授精」に取り組んでいます。少しずつ漁獲量が回復する中で、今年も採卵作業が行われました。
8日夜、香川県水産課の職員など23人が、小豆島北部にあるサワラの漁場に向かいました。香川県は、1998年以降、毎年5月上旬から中旬に「サワラの採卵」に取り組んでいます。
午後8時、漁師からサワラを受け取り作業開始です。 まずは、オスの腹から精子を搾り出します。そして、顕微鏡を使って、受精に適した精子かを判断します。
続いて、メスから卵を採取します。
(記者) 「採取した卵に精子がかけられ、その後、速やかに手でかき回されます」
精子が定着するまで3分ほど待ったあとは、受精卵を洗う「洗卵」という作業に移ります。これによって、残った精子や血を取り除き細菌の繁殖を防ぎます。
香川県のサワラの漁獲量は、1986年には1077トンでした。 しかし、乱獲などによって1998年には18トンまで激減しました。
その後、人工授精や稚魚の放流などの取り組みを続けた結果、漁獲量は回復し、ここ数年は300トン余りで推移しています。 今年は、4月の初競りで過去最多の約4900匹が入荷するなど、サワラ漁は好調が続いています。
(香川県水産課/大澤由延 技師) 「瀬戸内海のサワラは以前に比べると、かなり戻ってきてくれていると思いますけど。今後の種苗生産のあり方は、瀬戸内海全体で考えていかなければならない課題だなと考えています」
8日は、2時間半ほどの作業で、約6万8千粒の受精卵を確保しました。香川県水産課は今後も、100万粒の受精卵確保を目指して作業を続ける予定です。 受精卵は高松市の水産研究所でふ化させたあと、7センチほどに育ててから瀬戸内海に放流します。