岡山を走る注目の聖火リレーのランナーをシリーズでお伝えしています。今回は、岡山県スポーツ協会事務局次長の長尾隆史さん62歳です。
長尾さんは、1980年のモスクワオリンピックで男子400メートルハードルの日本代表に選ばれた元陸上選手です。しかし「オリンピック」には苦い思い出がありました。
まだ誰もいないオフィスに着いた長尾隆史さんは早速、ランニングウェアに着替えて外に出ました。
(長尾隆史さん) 「陸上の選手という形でみんなに見てもらうためには、トレーニングをしとかないといけないかなと」
長尾さんは陸上400メートルハードルの元選手です。東京オリンピックの聖火ランナーに選ばれてから仕事の前や終わりに週に3回程度、選手時代を思い出しながら体を動かしています。
長尾さんが今回の聖火ランナーに応募したきっかけはある「苦い思い出」からでした。
(長尾隆史さん) 「僕の中でオリンピックっていうのは、いろんな大会ありますけど特別な大会でした」
大学生時代の長尾さんはまさにエリート選手でした。1977年から日本陸上競技選手権大会3連覇、1978年には「49秒59」という当時の日本新記録を出しました。そして1980年、モスクワオリンピックの日本代表に選ばれました。
しかしモスクワオリンピックの直前、ソ連のアフガニスタン侵攻を非難するアメリカに同調して日本オリンピック委員会は「不参加」を決定。長尾さんはモスクワオリンピックに出られなくなったのです。
(長尾隆史さん) 「今でも思うのは、オリンピックのスタート地点に立ってレースをしたかったなと」
長尾さんが走る聖火リレーの距離は約200メートル。当時、目指した舞台の半分ですが、40年前と同じ気持ちでスタートを切ります。
(長尾隆史さん) 「選手とは違いますが、聖火ランナーとして走って自分の気持ちをオリンピックに参加したという気持ちになりたいなという思いで元陸上選手と言われても恥ずかしくないような形で走れればな」