高松市の国立ハンセン病療養所「大島青松園」について、子どもたちに理解を深めてもらおうと、オンラインイベントが開かれました。
(こえび隊/笹川尚子さん)
「ハンセン病は風邪よりも感染力が弱く、今は治る病気です。昔は病気を治す方法がなかったので、恐ろしい病気とされていました。ハンセン病になった人やその家族は、差別を受けていました」
瀬戸内国際芸術祭を通じて大島と交流を続けている「こえび隊」が、高松市の委託を受けて開催した「子どもサマーキャンプ」。
2014年に始まったこのイベントでは、毎年、子どもたちが大島を訪れていましたが、新型コロナウイルスの影響で2020年は中止、2021年はオンラインでの開催となりました。
県内外に住む小学6年生から中学3年生まで7人の子どもたちが参加し、オリジナルのワークノートを使って、大島青松園やハンセン病について学びました。
90年にもわたる国の政策によってハンセン病患者が強制隔離されていた大島。納骨堂には、故郷に帰れないまま亡くなった、約1400人の入所者が眠っています。
大島で長年暮らし続けている入所者が体験談を語り、子どもたちにメッセージを送りました。
(大島青松園入所者/野村宏さん[85])
「日本の国からハンセン病患者はもう誰もいなくなってしまう。昔こういう病気のために大島という島に閉じ込められて、そして一生を過ごした人たちの話を聞いたことがあると、そういうことを大人になっても思い出してもらって、何かの役に立ってくれたらありがたい」
(小学1年生から参加/酒井櫻子さん[中1])
「まだ差別は続いているというのもあるし、やっぱりこれは、私たちがこれからコロナウイルスとかと共存していく上で、大切なこととかをすごく学んだし、すごく心に残っています」
現在、大島青松園の入所者は43人、平均年齢は85歳を超えています。感染予防のために施設見学などの受け入れを休止していて、島の外とのつながりをどのように維持するかが課題となっています。
(大島青松園入所者/森和男さん[81])
「(大島の)中へ来て、いろんな実情を知ってもらうわけにはいかないけど、話でね、それでも知ってもらえてよかったんじゃないかと思うんです」
(大島青松園入所者/野村宏さん[85])
「なんとかコロナがおさまってもらって、またみんなに来てもらったら一番ありがたいと思うんだけどね」
(こえび隊/笹川尚子さん)
「子どもたちが楽しく大島のことを学んでもらえる良いきっかけ作りになればということで、(入所者は)ご高齢ではあるんですけど、子どもたちに伝えていきたいという思いもあると思うので、子どもたちと大島が私たちを通してつながることができたのはすごくよかったと思います」