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【解説】高松市の「市民プール」廃止へ 老朽化で存続か廃止か揺れ動くも

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 高松市民の憩いの場が消えることになります。1978年のオープン以来高松市民に親しまれてきた「市民プール」が今年度で廃止されることになりました。施設の老朽化が進む中、ここ数年は存続か廃止かを巡ってさまざまな動きがありました。

11月24日。大西市長が「市民プール」の廃止を明らかに

(高松市/大西秀人 市長)
「開設以来43年の長きにわたりまして、多くの方に愛され親しまれたわけでございますので、非常に残念ではございますが、この度の現況調査等を踏まえますと今年度におきまして廃止をすることもやむを得ないものと判断しておるところでございます」

 11月24日。高松市の大西市長が「市民プール」の廃止を明らかにしました。

 高松市浜ノ町の市民プールは1978年に高松市が整備しました。例年7月から8月の2カ月限定で開いていて多い時には期間中4万人近くが利用しました。

オープンから30年以上経ち老朽化が問題に……

 2011年には配水管で水漏れが起こるなどしたため高松市は約7100万円かけて改修。瀬戸内国際芸術祭に合わせてデザインも一新しました。

 しかし……

(2016年8月当時の高松市の担当者)
「ハコモノ施設の維持、更新。やっぱり厳しい対応をとらざるを得ない。最悪の場合は市の財政破綻」

 2016年、高松市は公共施設の再編整備計画を作り、ハコモノの「仕分け」を行いました。

 その結果、市民プールは大規模な改修工事が必要などの理由で2021年度に廃止するという方針が示されました。

市民団体などが「存続」を求めて署名を提出

(アンケートする人は―)
「子どもたちに残したい。私たちが入るわけじゃないからね。今ちっちゃな子どもたちが行けるプールって無いんです」

 「2021年度に廃止」の方針に対して、地元の自治会や市民団体などが「存続」を求めて合わせて2万8000人分の署名を市に提出。

 高松市が2019年に市民を対象に行ったアンケート調査では約6割が市民プールは「必要」、もしくは「どちらかと言えば必要」と答えました。

 これを受けて高松市は2019年に「2021年度に廃止」ではなく「大規模な修繕が必要になれば廃止」との新しい方向性を示しました。

(高松市/大西秀人 市長[2019年11月])
「できるだけの存続は図るというのを基本方針としながら、いざどうしても使えなくなった場合に廃止するというのも今の段階ではやむを得ないと」

今年は故障で1日も営業できず。修繕には1億円以上……

 しかし2021年の夏、市民プールは電気設備やろ過設備の故障の影響で、1日も営業することができませんでした。

(高松市 スポーツ振興課/柴田憲志 課長)
「この辺ちょっとコンクリートがはがれたりとかしているところで非常に危険な部分にはなっております。今外観しかお見せできないんですが、中についてもこれと同じような状態である箇所もございます」

 高松市は市民プールを調査した結果、「大規模な修繕が必要になった」として2021年度での「廃止」を決めました。

 完成から40年以上経ち、プールの床にはところどころ亀裂が入っていました。ポンプ室は雨漏りしているそうです。

 高松市はこれらの修繕に少なくとも1億円以上かかるとしています。

(高松市 スポーツ振興課/柴田憲志 課長)
「どうしても施設も老朽化して経年劣化もひどいということになりますので、やはりここはどうしても大規模な……簡単な修繕では済まないというような状況になっておりますので、今回このような判断をさせていただいた次第です」

「廃止」の発表受け、市民団体は抗議文を提出

(高松市市民プールの存続を求める会/林俊夫 共同代表)
「今般高松市が市民プールの廃止を決定したことに対して高松市市民プールの存続を求める会は広く市民を代表して強く抗議致します」

 「廃止」の発表から2日後、市民団体が大西市長に抗議文を提出しました。

(高松市市民プールの存続を求める会/林俊夫 共同代表)
「改めて我々は要望をぶつけるというか、する機会をぜひ設けていただきたいというふうに今は考えております」

存続を求める声を受けて市は……

 改めて経過を見てみると、市民プールは1978年にオープン。2011年には7000万円以上かけて修繕。2016年の仕分けで2021年度での「廃止」の方針が示されました。

 その後、存続を求める声なども受けて2019年には「大規模な修繕が必要になれば……」と新たな方針が示されましたが、2021年の夏は設備の故障で営業できず、改めて「廃止」となりました。

 高松市の大西市長は存続を求める声を受けて「他のプールで代替できないかを考えたい」としています。

 高松市が管理するプールは市民プール以外にも6カ所あります。

 市民団体などは「小さな子どもが遊べるのは市民プールしかない」と存続を求めていますが市は、他の施設にも子ども用のプールはある……と理解を求めています。

 全国的にも自治体が設置しているプールは減少傾向で、総務省のまとめによりますと2015年度以降は毎年約50カ所ずつ減っています。

 廃止の理由の多くは「老朽化」だということです。

 高松市は12月の市議会に市民プールの廃止について諮る方針です。

 市民団体は議会に存続を求める陳情を提出するとしていて、これについても合わせて審議される予定です。

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