身体障害者野球に関する話題です。2021年、香川県で初めてのチームとして立ち上がった「香川チャレンジャーズ」。さまざまな努力と工夫を1年余り重ねてきた選手たちが5月に開かれる全国大会に出場します。
5月3日、岡山県営球場――。
(香川チャレンジャーズ/山中達也 代表)
「実戦はもう最後です。もうきょう調整して、最後、全国大会に向けてやるだけですね」
この日、身体障害者野球チーム「香川チャレンジャーズ」のメンバーが岡山市の球場に集まりました。
2022年、「日本身体障害者野球連盟」に38番目のチームとして登録したチャレンジャーズ。5月14日と15日に神戸市で開かれる全国大会に「普及枠」で出場することになりました。
(岡田秀夫さん[70])
「(Q.来週全国大会ですね)ものすごく楽しみ。どんなになっても楽しみ。勝っても負けても。もうだいぶ体が動けるようになってきて、だいぶ違う。最初は全然動けなかったから」
(村瀬憲夫さん[41])
「チームとしては納得のいく試合をしようとはなっているんですけど、個人的にはやっぱり勝ちたいですね、1年半やってきたんで。大会に向けてのプレッシャーは半端ないです」
今から1年半前の2020年11月――。
(山中達也 代表)
「本当に皆さんたくさん集まっていただいてありがとうございます。きょうから正式にチーム設立に向けて練習を開始していこうと思いますのでよろしくお願いいたします」
チャレンジャーズの歩みはここから始まりました。
(平川亘紀さん[当時25歳])
「平川亘紀といいます。よろしくお願いします」
メンバーの1人、平川亘紀さんは野球未経験。21歳のときに交通事故で首を骨折。左半身にまひが残っています。
最初は、守るのも打つのもなかなかうまくいきませんでした。それでも、平川さんは前向きに練習に打ち込みました。
(平川亘紀さん[26])
「野球ができる環境とかがなかったので、障害を持ってから。動かないところがあるのでそこをどう動くようにカバーしてやろうかとかはいろいろ毎日考えて、練習の時試してみて、試して失敗したり違ったらまた考えて、を繰り返してというのも楽しい」
1年半前、野球初心者だった平川さんは今、キャッチャーを任されています。
(平川亘紀さん[26])
「キャッチャーは任命、任命ですね。で、やりよって楽しくなってという感じ」
平川さんの構えは、一般的なキャッチャーとはちょっと違います。ミットに右手を添えています。
(平川亘紀さん[26])
「どうしても手首が力が入って立たないので、何かないかなって考えていたらちょうどミットって、これ(ひも)ついてるじゃないですか。これで引っ張ったら立つやんって、これでやってみようと思ったら案外いい感じにできて」
「野球をしていてこれでまひがなかったら、ああいうプレーができたなというのはあるんですけど、もうなってしまっているから、落ち込んでいても別に良くなるわけでもないし。とりあえずポジティブに何とかなるって思っていたら何とかなったんで」
(山中達也 代表)
「通常の野球とは違って練習の内容や強度なども考えながらやっていた部分があったので、今は徐々に通常の練習ぐらいできますので、その点ではどんどんみんながうまくなってきているとは思っている。やっぱり個性豊かな選手がそろっていますので、その個性がしっかり絡んだらいいチームでしっかり戦えるのかなとは思っています」
全国大会に向けて「健常者」のチームとの試合に臨んだチャレンジャーズ。メンバーは自分の体・個性に合わせた方法でプレーをしていました。
(香川チャレンジャーズ/土居正信 監督[67])
「まぁぼちぼちいいんじゃないですかね。点も取れましたし、3点も取れましたし」
この日、同じ球場で岡山の身体障害者野球チーム、「岡山桃太郎」も試合をしていました。
岡山桃太郎は2018年の世界大会でMVPに輝いた早嶋健太さん(26)を擁し、2021年秋の全国大会を制覇した強豪です。
5月の全国大会には岡山桃太郎も出場します。
(山中達也 代表)
「早嶋君も初めて見ましたけどやっぱりいいピッチャーですね。このチームに勝たなかったら全国制覇はないので。いろいろ作戦はあるのでやりようによっては戦えるのかなと」
香川県で初めての身体障害者野球チーム、「香川チャレンジャーズ」。5月の全国大会は初めて臨む公式戦でもあります。
(村瀬憲夫さん[41])
「初出場なので全国をびっくりさせようと思います」
(平川亘紀さん[26])
「みんなが楽しく野球できるようにしっかり盛り上げて頑張っていこうと思います」
(山中達也 代表)
「とにかく選手が楽しく全力で、和気あいあいと試合に臨んでくれたら、やっぱりそれが一番なので。とにかく楽しんで全国大会を乗り切ってほしい」
5月14日に神戸市で始まる春の全国大会では、香川チャレンジャーズが「ぎふ清流野球クラブ」と、岡山桃太郎が「阪和ファイターズ」と初戦を戦います。