1月20日は1年でもっとも寒い時期とされる二十四節気の「大寒」。実は、香川県の家は全国で最も寒い、という調査があるんです。気候的には香川より寒い地域はたくさんありそうですが……専門家がその要因として上げるのは「断熱」です。
(山下佳乃リポート)
「現在、午後3時半ごろです。部屋の中の温度は約13℃。指先からどんどん体が冷たくなります。そして床はスリッパをはいていないとすごく冷たいです」
皆さんの部屋の温度は今、何℃ですか? 18℃を下回っていませんか?
2018年、WHOは、寒さでリスクが高まるとされる高血圧や循環器疾患などの健康被害を防ごうと、冬の部屋の温度を「18℃以上」にするよう勧告しました。
しかし……。
(慶應義塾大学 理工学部/伊香賀俊治 教授)
「日本の家は非常識に室温が低い。冬になって家の中が寒いっていうのは当たり前だと、皆さん何の疑問も持っていない」
慶応義塾大学の伊香賀教授らの研究チームは、全国約2200軒の戸建て住宅を対象に冬の2週間、室内の温度を10分おきに調べ都道府県ごとにまとめました。
その結果、「居間」の平均室温が18℃を超えたのはわずか4道県、ほとんどの地域で18℃を下回りました。(※サンプルの少ない4県のぞく)
岡山県は17.6℃、香川県は……なんと全国でもっとも低い13.1℃という結果になりました。北海道と比べても7℃ちかく低いという驚きの結果です。(出展:スマートウェルネス住宅等推進調査事業の分析結果)
地域ごとの違いについて伊香賀教授は、家の断熱性の違いが要因と考えています。
(慶應義塾大学 理工学部/伊香賀俊治 教授)
「温暖な所ほど断熱住宅が普及していなくて、香川県はその中でも1割ぐらいしか普及していない」
伊香賀教授らは厚生労働省の統計をもとに、12月から3月と、それ以外の期間とを比べた死亡者の増加の割合をまとめました。
増加率がもっとも低い北海道は10%、岡山県は18%、香川県は21%で、全国の都道府県の中で9番目に高くなっています。部屋の温度が低いとされる香川県は、冬に亡くなる人の割合が高い方だといえます。
(慶應義塾大学 理工学部/伊香賀俊治 教授)
「家の温度計を置いて、自分の家がどれだけ低いかっていうことを自覚して、暖房をして部屋を暖かくするとかそういうことをやってほしい」
部屋を暖めるには、暖房以外にリフォームという方法があります。
(リフォームセンター三野/三野隆茂 社長)
「香川県でも冬になると0℃やマイナス気温になったりするので、断熱化を図るというのは健康に過ごす一番の得策かなと私は思う」
三野さんによりますと、手軽にできるのは窓のリフォームだということです。
二重窓やペアガラスにしたり、フレームの素材をアルミ製のものから熱伝導率の低い樹脂製に変えることも有効だそうです。
窓を替えるだけでも室温が3~5℃ほど高くなる場合もあるということです。
この他、壁に断熱パネルを貼り付けるのも効果的だそうです。壁の大がかりな工事も必要ありません。
三野さんは、リフォームで部屋を暖かくすることは命を守ることにもつながると話しています。