古代の謎をひも解くヒントが秘められているかもしれません。岡山市の「千足古墳」で新たに「あるもの」が公開され、一目見ようと多くの人が訪れています。
国の史跡に指定されている「千足古墳」は、今から約1600年前、5世紀ごろに造られたとみられています。
全長は80mほど、鍵穴のような形をした前方後円墳と比べて前方部が短く、その形から「帆立貝式古墳」と呼ばれています。
後円部には、何やら長~い行列が……。皆さんのお目当ては、4月30日に公開が始まった古墳の中の埋葬施設「石室」です。
正面には石室の内部を360度再現したCGが、そして足元には1600年前の空間が広がるという、なんとも不思議な光景です。
石室は長さ2.9m、幅1.8m、高さ2.5mで、見えているのは遺体が安置されていたスペースです。
石室の仕切りに使われている板状の石は「石障」と呼ばれています。千足古墳の石障は、「直弧文」という複雑な文様が刻まれていることで有名なんです。
ちなみにこれはレプリカで、本物は岡山市の埋蔵文化財センターで保存されています。
石室の壁には香川でとれた安山岩、石障には九州でとれた石が使われるなど、当時の岡山が広い地域と交流していた様子がうかがえます。
(訪れた人は―)
「香川県の石を運んできたと聞いてすごいと思いました」
「きれいに復元されていてすごいと思いました。想像するのが楽しいですね、どんな人が埋葬されていたんだろうとかそういうのを考えたりして」
2023年3月に復元整備を終えた千足古墳は、その形も美しく再現され、頂上に登ることもできます。
ここから出土したさまざまな形の埴輪も復元されています。家の形をしたものや、何やら不思議な形のものも……。
(“古墳博士”の中学1年生/板東郁仁さん)
「奥にある埴輪は蓋形埴輪という埴輪で、地位の高い人にさした『傘』をモチーフにした埴輪です」
千足古墳の形をしたクッションを手に説明してくれたのは、中学生の「古墳博士」、板東郁仁さん(12)です。
実は千足古墳は、日本で4番目の規模を誇る造山古墳と関連が深い古墳の一つだそうで……。
(“古墳博士”の中学1年生/板東郁仁さん)
「(造山古墳に埋葬された)偉い人の親族とか部下みたいな1つ下の位の人が埋葬されている古墳なんですけど、九州の影響も大きく受けていて、このような埴輪も出土しているということは、ここに埋葬されている人は、とても権力があった人なのではないか」
千足古墳は自由に見学することができ、中にある石室は月曜日を除く午前10時から午後3時まで公開されています。