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浸水に工場爆発…二重被害でも「犠牲者ゼロ」の教訓・記憶を未来へ 総社市の男性が特別授業 岡山〈西日本豪雨から5年〉

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 西日本豪雨の記憶を未来へつなげようという取り組みです。5年前に被災した岡山県総社市下原地区の男性が地域の中学生に特別授業を開きました。

(総社市下原地区 自主防災組織/川田一馬 副本部長)
「『関心を持つ』というところがスタートじゃないかなと。そういった意味できょうは皆さんに災害ということに対して関心を持っていただくきっかけになればうれしいです」

 6月23日、倉敷市の福田中学校で開かれた防災についての特別授業。講師を務めたのは、総社市下原地区自主防災組織のメンバー、川田一馬さんです。

 下原地区は、5年前の西日本豪雨で「浸水」と「アルミ工場の爆発」という二重の被害を受けましたが、犠牲者は1人もいませんでした。当時は、川田さんら自主防災組織のメンバーが、手分けをして地区の住民約350人に避難を促しました。

 高齢者など逃げるのに支援が必要な人を前もって把握しておくなど、ふだんからの備えが犠牲者ゼロにつながったと川田さんは話しています。

(総社市下原地区 自主防災組織/川田一馬 副本部長)
「アルミ工場から直線距離で100mないくらいのところはアルミの燃えかすが空を飛んできて全焼。空き家だったんですけど、幸いなことに。水に対する避難行動をし、さらに追加で爆発に対する避難、二重の災害に対する避難をやったということです」

 あの日からまもなく5年。川田さんはこれまで防災に関する講演会などで講師を務めてきましたが、学校で子どもたちに当時の話をするのは、この日が初めてでした。

(生徒は―)
「地域の人たちの協力・信頼の強さを改めて感じた。地域の人との絆を深くしていったことが犠牲者ゼロにつながることだと思いました」

 川田さんら下原地区の自主防災組織では、地区に住む人たちが西日本豪雨で経験したことを2021年、「記憶誌」という形にまとめました。被災状況や避難の経緯といった「記録」だけではなく、手記や俳句など当時の「記憶」が多く盛り込まれています。

 「記憶誌」は市内外の学校などに配布しました。

 川田さんは豪雨災害の記憶・経験を、若い世代へ、未来へつなぎたいとしています。

(総社市下原地区 自主防災組織/川田一馬 副本部長)
「いろんな方から『川田さん、なんでそこまで(熱心に)なれるの?』というような質問を何度か聞いてきているんですけど、オーバーな言い方になるけど、これが私の運命・天命、天から授けられた私の役割かなと。もちろん忘れ去りたいこともありますけど、忘れたらだめなこと、そんなことについては、いろんな機会があれば話を訴え続けていければという思いです」

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