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展示する作品はどう決める?どんな見方をすればいい? 美術館の疑問を学芸員に聞く【みんなのハテナ】

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 Park KSBアプリに皆さんから寄せられた疑問をもとにお伝えする「みんなのハテナ」です。「芸術の秋」となりましたが……、今回は「美術館」に関するハテナです。

「展示作品はどうやって決める?」(倉敷市 泰くん 64歳 ほか)

 この疑問について高松市美術館の学芸員、牧野さんに聞いてみました。

(高松市美術館 学芸員/牧野裕二さん)
「学芸員が企画を考えるわけなんですけど、それを館内で協議して、それ以外にも当館にはアートアドバイザーというアドバイスをいただく方がいて、その方に意見を聞いたり、他の関係機関とも協議をしながら展覧会を練り上げていきます」

 高松市美術館の場合は6人の学芸員がそれぞれ企画を出し合う事が多いそうです。

 ちなみに、高松市美術館では展示内容を考えるときに「多様化する芸術」「地域性」の2つを大切にしているということです。また展示には大きく分けて「常設展」と「企画展」の2種類があります。

 「常設展」は美術館のコレクションの中からテーマを決めて展示する作品を選んでいます。

「当館では年間4回展示替えをするんですけれども、毎回テーマを変えて作品を展示しています」

 ちなみに、高松市美術館のコレクションは約1700点!戦後日本の現代美術や香川の工芸品など、多岐に渡ります。

 常設展の場合は1年ほど前から展示内容を考えているということです。

「極力、作品が多様な見方をしていただけるようなテーマ設定を考えています」

 これが「企画展」となると……。

「企画展はですね、大体当館の場合は3年から4年くらい前から企画をし始めます」

 企画展は常設展と違い、別の美術館や個人から作品を借りることが多くなります。そのため……。

「貸していただけることが決まったら輸送会社を決めて、実際に学芸員もトラックに乗り込んで作品を借りに行きます。万が一に備えて保険をかけないといけないので、そういった作業もあります」

「展示作品はどう管理されている?」(岡山市 うさぎのみみ 60歳 ほか)

 美術館では借りたものも含めて作品の管理にかなり神経を使っています。

「例えば紙の作品でしたら湿度が高いと波打ったりしますよね、また、漆の作品でしたら あまり乾燥していますとひび割れが最悪の場合 いったりしますので、そういった作品の劣化を防ぐためにですね、温湿度の管理をしています」

 作品や季節によって差はありますが、温度は22℃から25℃、湿度は50%から55%を目安にしているということです。

「ここで測ったものをですね、事務室でモニターがあって、そこでモニタリングして温度が高めになっていたら下げたりですね、そういったことを常にチェックしております」

 さらに照明にもこだわっています。

「紫外線がカットされていて、作品が退色しにくい、そういう光になっています。作品が傷むことも気を付けないといけないんですけど、作品がより際立って見える照明の仕方っていうのも考えています」

「作品によってはスポットライトを当ててるんですけども、それも当てるときに照度計で測りながら」

 ちなみに、展示室のライトは位置を変えたり、細かく明るさを変えたりできるようになっています。

「どんな見方をすればいい?」(高松市 ぶた 50歳 ほか)

 オススメの鑑賞方法を聞いてみると……。

「いろいろキャプションとか、作品解説とかありますけどもできればそういったものをまず見ずにですね、まずは作品と向き合っていただいて楽しむところから始めていただきたい。『何かこれ、食べ物に似てるみたい』とかね、『知っている誰々に似ている』とか、そういうものでもいいと思うんです。自分の中で会話してもいいし、人と一緒に鑑賞して意見を交わすのでもいいですし、肩ひじ張らずにまずは作品を楽しんでもらえたらと思います」

 芸術の秋。みなさんも気軽に美術館で時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。

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