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【解説】「メタバース」を活用し不登校の子どもたちの居場所づくり 岡山県が4月から実施へ 他の自治体では課題も

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 岡山県が不登校の子どもたちの居場所をつくろうと4月から新たな取り組みを始めます。それが、インターネット上の仮想空間「メタバース」を活用したものです。なぜこのような取り組みを始めるのでしょうか。

メタバースを活用した居場所づくりに取り組む背景とは

 岡山市北区にある民間のフリースクール「無花果 もえぎ」。ここでは『学校に通いづらい』と感じている小中学生を受け入れていて、現在は35人が利用しています。

(無花果 もえぎ/中藤寛人 学園長)
「火曜日から金曜日が開いている日になっていまして、週1回ぐらいの子もいれば、いっぱい通いたいなって子は週2回・週3回とか」

 子どもたちが興味のあることを探究する活動や勉強のサポートなどを行っています。一方、このフリースクールにも通いづらい……という子どももいるそうです。そのような子どもたちには、SNSやメールなどでコンタクトを取るなどしてサポートしています。

(無花果 もえぎ/中藤寛人 学園長)
「家にいたいなとか、ちょとしんどいから。そういった子とは、ここに来なくても、オンラインでつながれたりとか、関係性をつないでおけることは、大事にやってるところになります」

 岡山県の小・中・高校生の不登校の数は、2022年度は4700人を超え、2018年度の1.3倍ほどになっています。こうした中、岡山県は、自宅にいて外の人たちとつながれない子どもたちに対し、2024年4月から仮想空間「メタバース」を活用した居場所づくりに取り組むことを決めました。

(岡山県教育庁 人権教育・生徒指導課/横山智康 課長)
「なかなか社会とつながることができない。自宅にいてもそういったところとつながれる。社会的自立のきっかけになれば」

すでにメタバースを活用している自治体では…

 メタバースを活用した取り組みをすでに行っている自治体があります。その一つが大阪府の八尾市です。

(八尾市教育委員会事務局/辻本貴昭 参事)
「学習支援の活動とコミュニケーションであったり、人とのつながり、交流を重視しました。居場所づくりの活動を行っています」

(松木梨菜リポート)
「こちらが八尾市の実際のメタバースの空間です。畳が敷かれていて、アットホームな雰囲気です」

 八尾市教育委員会が不登校の小中学生を対象に2023年8月に始めたのが「ほっとはあとルーム」です。

 利用する小中学生は現在15人。顔出しする必要はなく、好きなアバターを選んでニックネームで空間に入れます。アバター同士が近づけば、文字のチャットや音声での会話も可能です。教員経験のある八尾市の教育委員会の職員らが運用しています。

 週に4日、みんなでゲームをして「コミュニケーションを深める場」を提供したり、「学習支援」を行ったりする中で、担当者は子どもたちの「変化」を感じていました。

(八尾市教育委員会事務局/辻本貴昭 参事)
「たとえば自宅にいて郵便物を取りに行くとか、子どもたちが『定期テストを学校に受けに行ってみようか』という子どもが出てきたり。今までなかなか難しかったことができるようになったような、前への一歩を踏み出すことができるようになった子どもが増えてきていることを感じています」

 一方、本当に必要な人に支援が届いているか……PR方法には課題も感じています。

(八尾市教育委員会事務局/辻本貴昭 参事)
「周知については、ホームページとか、できるだけ工夫は重ねてはいるんですけれども、全ての方に行き届くようにというところでいくと、まだ知っておられない方もいらっしゃるのかなと印象を受けてますので、できるだけ利用者が増えるようにしていきたい」

 文部科学省は、学校に通っていない児童・生徒が、メタバースを含むICTなどを活用して自宅で学習した場合でも、一定の条件を満たせば「出席扱い」にするとしています。

 文科省によると、こうした形で「出席扱い」となった全国の児童・生徒の数は、コロナ禍の2021年度に大幅に増加しました。

「次のステップ」へのつなげ方が課題に

 メタバースなどを活用した取り組みは全国的にも広まりつつあります。その一つ、香川県では「次のステップ」へのつなげ方が課題となっています。

(香川県障害福祉課/和田州弘 課長補佐)
「(香川県を)参考にして、オンラインを活用した居場所づくりをしたいという県外の自治体からの問い合わせはありまして、関心のあるテーマだと受け止めています」

 香川県は2023年4月から、心理的に自宅から出ることが難しい人たちを対象に、メタバースでの居場所づくりに取り組んでいます。香川県在住の人が対象で、参加費は無料です。

 毎月第4金曜の午後に利用することができ、1回あたりの利用者は平均で5人ほどです。利用者は20~30代が中心ですが、10代の若い世代もいて、「次のステップ」をどうしていくかが課題だと感じています。

(香川県障害福祉課/和田州弘 課長補佐)
「就職であるとか、進学であるとか、そういったところにつなげていきたいという。専門的な窓口につないでいくとか、専門的な機関を紹介して、ステップアップをうまくしていければというところを考えていきたい」

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