乳児に大きな健康被害をもたらした「森永ヒ素ミルク中毒事件」の発生から2025年で70年です。被害者の高齢化が進む中、これからも適切な支援を続けていくための研修会が岡山市で開かれました。
(森永ヒ素ミルク中毒事件 被害者/菅野孝明さん)
「乳児ですので一番心配なのは私も6カ月ぐらいでした。6カ月というと毎日毎日体重が増えていろんな組織ができあがっていく、そういう時期にヒ素が体に入ったわけです」
研修会を行ったのは岡山市の地域包括支援センターです。
被害者の高齢化が進む中、「森永ヒ素ミルク中毒事件」について理解を深め、適切な支援につなげられるよう新規採用職員らを対象に研修会を毎年行っています。
被害者のひとり菅野孝明さん(70)は、子どものころからぜん息が続いていることなど、苦しんだ経験や思いを語りました。
事件発生当時、被害者は1万2000人を超え、このうち130人が死亡しました。
岡山県は特に被害が多かったとされ、70年がたった今も健康不安を抱える人の救済事業が続いています。
(森永ヒ素ミルク中毒事件 被害者/菅野孝明さん)
「高齢期に入りまして、私たちはいろんな問題が出てます。一生を終えるにあたって本当に幸せな人生を送りたいと思っていますので、そういう面で皆さんの協力をぜひお願いしたいなと思っています」
(研修を受けた職員は―)
「約70年近くこの後遺症と向き合いながら生活されているということを聞いて、今も続く現実なんだなというのをすごく感じました」
「新しい困りごとであったりニーズもどんどん出てくると思うので、そういったところを見出していけるように日頃の地域活動から心掛けたいと思いました」