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旧香川県立体育館解体 NYタイムズに執筆の建築家に聞く「場所の記憶も消え去る」

 香川県が4月10日に解体工事に着手した旧県立体育館を巡る動向は海外からも注目を集めています。3月、ニューヨーク・タイムズに記事を執筆したアメリカの建築家に話を聞きました。

(NYタイムズに記事執筆[建築家]/ナオミ・ポロックさん)
「人々は非常にショックを受けています。丹下健三氏が設計した建物、戦後間もない時期の日本において、おそらく最も重要な建築家の傑作の一つが今まさに取り壊されようとしていることに」

 アメリカ在住の建築家で、日本の建築やデザインについて執筆するジャーナリストでもあるナオミ・ポロックさん。建築家・丹下健三が設計し、国の重要文化財にも指定されている東京の国立代々木競技場前で話を聞きました。

 その代々木競技場と並行して丹下が設計を進め、「兄弟作」とも言われる高松市の旧香川県立体育館。ナオミさんはその魅力についてこう話します。

(NYタイムズに記事執筆[建築家]/ナオミ・ポロックさん)
「重厚感を感じさせながらも、両端がぐっと上向きにカーブしています。1964年当時の日本がどのような状況にあったのかを如実に物語るものでした。それは戦後の再生を果たした日本の力強さを証明していたのです」

 ナオミさんは3月、ニューヨーク・タイムズの紙面とWEB版に旧香川県立体育館の解体を巡る動きについて執筆しました。

 日本では木造の寺院や明治期の赤レンガ造りの建築物と違い、20世紀半ばのモダニズム建築が十分な保護の対象になっていない現状を伝えています。

 また、2025年7月、建築家らで作る団体が民間資金で改修し、ホテルなどに再生する提案をしたことについて「納税者にも観光客にとっても大きな利益となるはずだったが、無視された」と記し、香川県の対応に疑問を投げ掛けます。

(NYタイムズに記事執筆[建築家]/ナオミ・ポロックさん)
「(香川県の一連の対応には)透明性が欠如しており、なぜ建物を取り壊すべきだという結論に至ったのか、その理由を明らかにしようとする意欲が不足しています。『構造的に不備がある』とする根拠(データ)を共有しようとする姿勢が欠けているのです」

 ナオミさんは記事の中で「解体によって、場所の記憶や地域のランドマーク、歴史とのつながりもともに消え去ってしまう」と記しています。

 旧香川県立体育館をめぐっては、ハーバード大学の教授陣やMoMA(ニューヨーク近代美術館)などからも保存と活用を求める嘆願書が出され、丹下健三氏の長男、丹下憲孝さんも県に対し、慎重で責任ある判断を求める声明を発表しています。

 香川県の池田知事は……。

(香川県/池田豊人 知事[3月23日の記者会見])
「何とか保存できないかという声があるということは私もよく分かっております。その点について、今回そのままの保存ということがかなわず、安全性のために解体せざるを得ないということは、大変今も心苦しく感じているところでございます」

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