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【解説】国内旅行満足度 香川が1位に 急上昇の鍵は「うどん」と「お得感」

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 観光を研究する「じゃらんリサーチセンター」が2025年7月に発表した国内旅行の総合満足度ランキングで、香川県がトップになりました。
 旅行した人が訪れた都道府県の満足度を5段階で評価して、毎年順位にしているものです。2023年度は香川県が33位、岡山県が44位でしたが、2024年度は香川県が沖縄県を抜いて1位に。満足度が急激に高まった理由とは?

(山下佳乃リポート)
「栗林公園では海外からの観光客の姿も多く見られます。平日ですが、国内から来られた方も多く見られます」

 香川県の観光名所のひとつ、高松市の栗林公園。園の調べによりますと、2024年度の観光客は延べ約76万4000人。このうち国内旅行者はその約70%にあたる延べ54万7000人ほどで、コロナ禍前の水準に戻りつつあります。

 なぜ旅行先に「香川」を選んだのか聞いてみると……

(奈良から)
「友達からうどんをお土産で1回もらって、おいしくて、本場のうどんを食べてみたいなと」

(大阪から)
「非日常感。(Q.香川だったらどういうところで感じる?)ここ、やばいよな」
「自分たちが住んでいるところは車とか多いから、自然に囲まれる環境が新鮮で」
「あんまり人気過ぎない、観光客がいすぎないとかも行きやすいかなと思って」

 じゃらんリサーチセンターは国内旅行における都道府県魅力度ランキングを「食」や「土産物」など9つの項目に分けて、調査しました。

 香川県はこのうちトップ10入りしたのは「食」と「子どもが楽しめるスポット」の2項目だけでした。

 一方、「総合満足度」はこの9項目とは別に旅の全体的な満足度を5段階で評価するもので、「とても満足」・「やや満足」と答えた割合が9割を超えて1位となりました。

満足度の鍵は「うどん」と「お得感」

 トップ10入りした項目が少ないにもかかわらず、なぜ総合満足度では1位になったのでしょうか?

(じゃらんリサーチセンター 主席研究員/森戸香奈子さん)
「香川の場合は、食の特性が非常に強くて。うどん屋さんに行くっていうこと自体が香川県の県民カルチャーの体験に近いようなアクティビティになっているじゃないかなと思う」

 香川の旅で欠かせない「うどん」。この「うどん」をとっても「店内の雰囲気」「提供スタイル」そして「食べ方」など、違いやそれぞれの店の魅力があります。

 うどんをグルメとして楽しむだけでなく、「違いを体験できる」というアクティビティ・活動の一つになっているのです。

(じゃらんリサーチセンター 主席研究員/森戸香奈子さん)
「香川県らしさとか、香川県民の生活がちょっと様子がうかがえたりとか、そういうところに興味・関心が高いんじゃないかなというふうに思っています」

 そして、もう一つ香川旅行の満足度を上げたと思われるのが「旅行の費用」です。

 調査によると、1回の国内旅行にかかった費用は大人1人当たり全国平均が6万4100円であるのに対し、香川県は5万1400円と1万円以上安くなりました。

 専門家によると、物価高騰などの影響で前年と比べて全国的に費用が高くなっている中、香川県は上げ幅が小さかったのではないかということです。

(じゃらんリサーチセンター 主席研究員/森戸香奈子さん)
「ちょっとお得感があったり、あるいは穴場感そういった面で改めて評価されたという側面もあるのかなと思っています」

 香川の満足度が上がった理由として、「うどん」と「費用を抑えられる」というキーワードが出てきました。

 森戸さんによると、一般的に、旅行中の食事は「ぜいたくをしていいものを食べようとする」傾向があるそうです。一方で、香川では日常的な食事である「うどん」を観光客も求めているという珍しい状態だということです。

専門家「ローカルな体験が満足度に影響」

 こうした中で香川の満足度が高くなる理由を専門家は「旅行に求めるものが変わった」と分析します。

(香川大学/西成典久教授)
「いわゆる観光のために作られたような場所ではなくて、本当にその場所にある魅力、いわゆるローカルな魅力というのにすごく惹かれてき始めているんじゃないかなと思いますね」

 まちづくりに詳しい香川大学の西成典久教授は、香川の「うどん巡り」がいま旅行に求められる「ローカル感」と合致したのではないかとしています。

 その火付け役となったのが……

(香川大学/西成典久教授)
「最近でいうとSNS等でこういった場所があるんだっていうことを知って、知られざるお店に行く、これがすごくローカルな体験、満足度にすごく影響している可能性もあるんじゃないかなと思います」

 SNSなどで情報を発信し大きな影響力を持つインフルエンサー。「なんがでっきょんな?」の名前でSNS上で香川の魅力を発信しているぶっちーさんによりますと、グルメだけでなく「子連れスポット」などのお出かけ情報も最近の人気コンテンツなんだそうです。

(香川大学/西成典久教授)
「よりローカルなところを求めているニーズがあって、一方でそれを知るすべがこれまでなかったところに、SNSなどで新しく知れるツールが増えていった。ニーズとツールがあいまって満足度1位というところにつながったんではないかなと思いますね」

 今後も満足度を維持していくために、西成教授は、旅行者ではなく地元の人のためになるようなものや場所を生み出し、より「ローカル」を感じられる要素を増やすことが大切なのではないかと話します。

(香川大学/西成典久教授)
「そういう知られざるところがまた引っかかって、多くの人たちが来てくれる。そういういい循環に変わっていってくれたらいいんじゃないかなと思います」

 今回、満足度などを調査した森戸さんは「今回の1位という結果が地元の人たちが香川らしさや魅力を改めて考えるきっかけになれば」と話していました。

(2025年9月3日放送「News Park KSB」より)

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