シリーズでお伝えしている「311のいま」。福島第一原発の事故から間もなく14年となりますが、除染作業で生じた大量の「土」の行き場を決められない状況が続いています。
参加者 「除去土壌を使った復興再生利用なるものが進んでいくことを強く懸念しています」
先月、市民団体が都内で開いた環境省への「緊急公聴会」。参加者が怒りの声を上げていたのは、2011年に起きた福島第一原発事故の除染作業で生じた「除去土壌」を巡る国の方針についてです。
「除去土壌」は東京ドーム11杯分の量が福島県内の中間貯蔵施設に保管され続けています。2045年までには県外で最終処分することが定められているため、国は全体の4分の3にあたる一定の安全基準を満たした除去土壌を公共事業などで再生利用する計画です。しかし。
近隣住民 「住んでいる足元に放射能で汚染されたものが来ることに関する違和感はありますよ」
東京の新宿御苑などで予定していた実証事業は、住民らの不安の声を受けて中断される事態に。
一方、IAEA(国際原子力機関)は去年、再生利用のための実証事業は国際的な安全基準に合致すると評価しました。
環境省も年間の放射線量は1ミリシーベルト以下で発がん性などには関係がないとしていて、除去土壌の再生利用について国民的な理解を深めたいとしています。
地元・双葉町の町長からもこんな提案が…。
福島・双葉町 伊沢史朗町長 「首都圏の人たちへの理解を進めるにはまずは県内で取り組む必要がある」
最終処分まで残された時間はあと20年。
環境省 中野哲哉参事官 「国民の皆様に(再生利用の)必要性と安全性をしっかりご理解いただくことが重要。安全性を科学的な根拠をもってご説明する、分かりやすくお伝えすることが我々の重要な目標」
国は2025年度から最終処分場の候補地選定に向けた検討に着手する方針です。