仏教国タイで今、僧侶の不祥事が次々に明らかになっている。背景に何があるのだろうか。
■相次ぐ僧侶の摘発 タイで深刻化
警察 「薬物器具などに手を出していないよね?」 僧侶 「していません」 警察 「あそこにたばこが1本あるよ。食事は済ませた?」 僧侶 「まだです」 警察 「朝のお勤めをしたばかりか?」 僧侶 「そうです」
警察が調べているのは1人の僧侶。捜索で見つけた袋に入っている焦げ茶色のものは違法薬物だったのだろうか。その後、僧侶は拘束された。
今、タイで深刻化しているのが相次ぐ僧侶の摘発だ。
タイには4万を超す寺があると言われているが、こちらはその1つ、バンコクから車で30分ほどの場所にある一般的なサイズ感の寺になる。この寺でも1人の僧侶が逮捕されたということだ。
タイ警察によって作成された指名手配された僧侶の一覧だ。銃の不法所持や無許可で貸金業を行ったなど様々な容疑がかけられている。
警察 「私は警察官です。裁判所から逮捕状が出ています」
警察官に挟まれているこの男も僧侶だ。バンコク近郊にある寺院で僧侶をしていたスラット容疑者(45)は麻薬関連のマネーロンダリングに関与した疑いで逮捕された。
警察 「薬物関連の取り調べになぜ出頭しなかった?」 僧侶 「それは知りませんでした」
■警察が「仏教保護作戦」を実施
タイ政府が僧侶に対して厳格な対応を取るきっかけになったとみられる事件がある。
僧侶 「抱きしめたい」 ウィラワン容疑者(35) 「私もよ」
僧侶キラーと呼ばれる女が逮捕された事件だ。
ウィラワン容疑者は僧侶との性的関係を隠し撮りし、その映像を公にすると脅して金銭を要求していた疑いが持たれている。
女の銀行口座には過去3年間で17億円以上が送金されていた。
被害に遭った僧侶の中には寺の金を不正に入手し、女に渡していた者もいたという。
この事件を受け、タイ警察は仏教保護作戦と題した一斉取り締まりを実施。すると…。
タイ警察の会見 「国家仏教事務所のデータによると、約510人の僧侶が調査されました。5日は163人が逮捕されました」
こうした事態に、タイの人はこう話す。
「僧侶が行ったことは自業自得だと思う。悪いことをしたら法的に対処しなければいけないわ」
現役の僧侶はどう考えているのか。
僧侶 「まずは悲しく心が痛みます。僧侶が欲をまだ捨てきれていないところもあります。しかし個人の行動を注視するより仏陀(ぶっだ)が残してくれた教えの方が大事だと思います」
(「ワイド!スクランブル サタデー」2025年8月9日放送分より)