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「墓じまい」が過去最多 遠方で管理できない人増加 選択肢「ゼロ葬」とは?

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 今「墓じまい」する人が、過去最多となっている。そんななか、増えている選択肢、「ゼロ葬」とは?

■「墓じまい」過去最多に

 東京・新宿区にある宝祥寺。寺の墓地にはおよそ1500基の墓があるが、最近増えているのが「墓じまい」だ。

曹洞宗 宝祥寺 秋山英淳住職 「ぼちぼち墓じまいされる人がいますね。今年は2件ほど墓じまいされた場所が、そちらの大きな墓地」

 「墓じまい」とは、墓石を撤去し、更地にして墓地の使用権を返すこと。

秋山住職 「こちらが骨つぼのまま中に納められる共同のお墓になっています」 「(Q.墓じまいをされた人は、こういった所にお骨を入れるということですかね)そうですね」

 「墓じまい」は全国的に急増している。2013年度、およそ8万8000件だったが、2023年度はおよそ16万7000件と過去最多を更新。10年でおよそ2倍となっている。

 しかし、「墓じまい」を考えてはいるが、何から始めればいいのか分からない、という人も多いという。

秋山住職 「墓じまい自体がまだ認知されていない人もいらっしゃるので」

 では、「墓じまい」はどのように行うのか?そして、気になるその費用とは。実際に「墓じまい」を行う山内雅弘さん(56)に同行した。

■「墓じまい」はどのように行う?

山内さん 「墓自体は私の母方の祖父母の墓になるので、直接うちの家の墓というわけじゃないんですが、私のいとこの家の墓になります。いとこも東京にいて世話もできないから、墓じまいをして寺に預ける流れに」

 このように墓が遠方にあることを理由に「墓じまい」を決断するケースも多いという。

 また、自分が亡くなった後、墓を管理する者がいなくなるため、「墓じまい」をする人もいるという。

 その後、行われるのが墓石の解体だ。手作業で解体しなければならない場合もあるという。

 遺骨を取り出した後、墓石の解体を行う。山あいの墓地では、重機を近くまで入れることができないことも。700キロを超える墓石を人力で運び、クレーンで運び出していく。

金子石材店 金子幸希さん 「(費用は)平均的に30万~40万前後が一基あたりに墓じまいにかかってくる」

 また遺骨は、自治体の許可なく移動できないため、役所への申請手続きも必要となる。

 「墓じまい」が完了するまでに、1カ月から2カ月かかるという。

山内さん 「いろいろ複雑な思いもありますけども、これから何年先まで僕が世話できるか分からない。託したとしても、だんだん世話が行き届かなくなってくるだろうし、負担にもやっぱりなるでしょう。みんな年を取っていきますし、どこかで誰かが踏ん切りをつけないといけないんだろうなと」

 そして「墓じまい」を行う石材店は次のように話す。

金子さん 「石屋さんといったらですね、これまでお墓を建てることっていうのが石屋さんの仕事。お墓を建てるのとしまうのって、相反することだとは思うんですけど、ただご先祖様のことを考えてやるということでは、同じ意味なのかなと思ってるんで。両方を真剣に取り組まさせていただいている」

■背景に無縁墓の存在

 過去最多となった墓じまい。その背景には、同じく増加している「無縁墓」の存在があるようだ。

 「無縁墓」というのは、継承者などがいなくなり、管理されていない、また、管理費の支払いがされていないお墓のことで、それにより墓石が倒れたり、草木が隣の区画に侵入したり荒廃につながることが問題視されている。

 そんな無縁墓の数だが、総務省が2023年に発表した全国調査によると、公営墓地や納骨堂がある765市町村のうち、およそ6割に無縁墓があり、管理費の滞納総額は4億円を超えるとのことだ。

 今増加しているという無縁墓だが、寺が管理する墓地の無縁墓は、撤去する場合の費用を寺が負担しなければならないという。

 また、自治体が管理する霊園の無縁墓については、各行政や管理団体によって異なるが、東京都公園協会が管理する霊園の場合、年間の管理料を5年以上滞納すると、霊園の使用許可の取り消し対象となり、行政手続きを経て最終的に都が撤去して更地にするとのことだ。

 番組が取材した、東京・新宿の宝祥寺の住職、秋山英淳さんは「無縁墓は管理や費用を負担するのが大変。墓じまいをしてもらった方が、必要としている人に場所をお渡しすることができる」と指摘している。

 そんななか、そもそもお墓を持たないという選択をする人が増えているという。

 それが「ゼロ葬」と呼ばれるもので、火葬後に遺骨を引き取らず、収骨しないという方法だ。遺骨をすべて火葬場に委ね、埋葬してもらうというものだ。

 遺骨を引き取らないため、墓地の管理費や墓石の準備、費用も必要ない。

 この方法は、身寄りがなく、自分のお墓を買う費用がない人が生前に契約をする場合や、身寄りがない人が孤独死した後、関係性が希薄な遠い親戚が希望するケースが増えているという。

 気になる費用だが、「ゼロ葬」を行っている死後事務支援協会によると、通夜や告別式などを行わず、火葬のみを行うプランだと11万5000円からだということだ。

(「ワイド!スクランブル サタデー」2025年8月16日放送分より)

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