神輿(みこし)を豪快にぶつけ合う伝統の祭り。去年は本当のけんかに発展し、開催が危ぶまれる事態に。果たして今年はどうなったのでしょうか。
■去年 暴行騒動でルール厳格化
愛媛県の温泉地に響く男達の声。2つの神輿が向き合い、檄(げき)を飛ばします。
そして、大きな音を立てて神輿が正面衝突。松山秋祭りのクライマックスである「道後鉢合わせ」、通称“けんか神輿”が行われました。
「もてこい」という掛け声とともに五穀豊穣(ほうじょう)や商売繁盛を祈り神輿をぶつけ合う、500年の歴史があるという伝統行事。ですが、今年は大きな変化が…。
伊佐爾波神社・湯神社 八町会 西岡義則総代 「最近けんかが多くなりまして、そして去年けんかがかなりひどかったので」
きっかけは去年の祭りでした。神輿がぶつかり合うなか、参加者同士のけんかに発展。数人がけがをする事態になったということです。
今年は「鉢合わせ」の実施も危ぶまれていましたが…。
伊佐爾波神社・湯神社 八町会 西岡義則総代 「各神輿の責任者が厳しいルールを作り、『続けてやらせてくれ』ということで今年はすることになった」 「(Q.今年からルールが?)ものすごく厳しくなった」
取られた対策が新たなルール作りです。「けんかの禁止」を明文化。中止勧告を無視してけんかを続けた場合は即刻退場させ、そのうえで来年以降の祭りに1年以上、参加禁止となる処分が定められました。
伊佐爾波神社・湯神社 八町会 西岡義則総代 「けんか祭りは神輿のけんか祭りで人間のけんか祭りではないので、けんかはしないで“魅せる祭り”というのが今年のモットー」
■厳戒態勢“けんか神輿”今年は?
会場となる道後温泉駅前。午前6時だというのに沿道は見物客で埋め尽くされています。
多くの人が見つめるなか、新たな“けんか神輿”がスタート。
神輿がぶつかった直後、参加者がもみくちゃになる場面も。しかし、白や黄色の法被を着た人はけんかを止めるスタッフです。今年は増員して安全管理に努めています。
熱気に包まれた会場では何度も激しくぶつかり合いましたが、けんかをするのは神輿だけ。新しいルールは徹底されていました。
鉢合わせは大きなトラブルなく、無事に終了。
伊佐爾波神社・湯神社 八町会 西岡義則総代 「けが人は出ましたけど、人間のけんかは一つもなかった」
見物客 「夜まで観ていたい気分、お兄さんたちかっこいいし」 「(神輿が)ぶつかって勝負しているところがすごかった」 「(Q.大きくなったら参加したい?)いきたい」
ルールを厳格化しても迫力は充分。そして参加者からも“新しい祭りの形”は好評でした。
参加者 「鉢合わせは神事の一つなので『人のけんかでけがをしました』とか遺恨が残るのも寂しい話なので、非常にいい祭りだった」 「(Q.新ルール下での祭りは?)これはこれで気持ちいい引き際があったんで、新しい道後の祭りができたんじゃないか」 「時代です、令和です」
時代とともに変わる伝統。来年は、けが人ゼロを目指します。