岩手県の温泉旅館の露天風呂で、清掃していた男性が行方不明になっています。現場には血痕が残っていて、クマに襲われ連れ去られた可能性があります。この近くでは8日にも男性がクマに襲われ、死亡しています。
■露天風呂の柵にクマの体毛か
車を恐れることなく道路を横切っていくクマ。撮影されたのは、岩手県盛岡市にある住宅地の近くです。
同じ岩手県内で16日、心配な出来事が…。
現場は、北上市の瀬美温泉です。川に面した露天風呂があり、目の前には山林が広がっています。
温泉支配人 110番通報 「男性露天風呂に清掃に入った。男性従業員の姿が見えない。露天風呂に血痕のようなものがある」
温泉の支配人から通報があったのは、16日午前11時すぎ。行方が分からなくなっているのは、笹崎勝巳さん(60)です。
当時、1人で露天風呂の清掃をしていました。
現場には、清掃用具や笹崎さんのものとみられるメガネなどが散乱し、周辺には複数の血痕も…。
血痕は柵の辺りまで続き、柵にはクマの体毛のようなものが付着していたといいます。 現場に駆け付けた和賀猟友会の鶴山博会長はこう話します。
「露天風呂の入り口近くに外から入る柵があり、(クマは)そこから入ったのでは」 「(Q.(従業員を)クマが山に引っ張っていった?)それしか考えられない」
■先週も男性死亡 クマ「同一個体」か
ここから2キロほど離れた場所では8日、キノコ採りに出かけていた男性がクマに襲われ、死亡していました。
岩手大学農学部の山内貴義准教授はこう分析します。
「クマの生息範囲内に入っている。立て続けに人を襲っている事例も過去にはあるので、同一個体の可能性は非常に高い」
16日もクマによる被害が相次ぎました。
福島県ではわずか4時間ほどの間に喜多方市、昭和村、会津若松市の3カ所でクマに襲われ、けがをする被害が発生。秋田県大館市でも人的被害が起きたほか、秋田市では5時間以上にわたり、住宅街にクマが居座りました。
札幌市でもクマの目撃が相次ぎ、近くの小中学校2校が臨時休校となりました。クマを目撃した子どもはこう話します。
「(自宅で)テレビを見ていて、ちらっと横見たらここにクマがいた。10分ぐらい。(体長)60センチぐらいだと思う。少しデカくて怖かった」
■「執着すごい」クマの人的被害続出 東北や北海道で市街地へのクマの出没が相次いでいることについて、山内准教授はこうみています。
「(クマが好物の)特にクワが猛暑と雨が少なかった影響で、実がほとんど付いていない。数少ない良いエサ場は体の大きい個体や強い個体が優先し、小さな個体や親子連れが外にはじき出されるような感じ」
今年は、クマの凶暴性も高くなっていると警戒を呼び掛けています。 「エサに対する執着がやはりクマは強いので、私も経験したことがあるが、どんぐりを食べているクマが、私に気付いているが全然動かず、私が近づくとうなり声をあげて今にも襲ってくる感じになった。今年に関しては大胆な行動をするクマが増えている」
(「グッド!モーニング」2025年10月17日放送分より)