ストックホルムにある「ノーベル博物館」では今年の受賞者の寄贈品が早くも展示されています。生理学・医学賞に選ばれた坂口志文さんは“2つのネズミの置物”を贈りました。その思いとは。
ノーベル賞の受賞者はスウェーデンのストックホルム旧市街にあるノーベル博物館に自身の研究にゆかりのあるものを寄贈するのが習わしです。
化学賞に選ばれた京都大学の北川進特別教授は、自身が開発したMOF(金属有機構造体)の材料などを贈りました。
また、生理学・医学賞の大阪大学・坂口志文特別栄誉教授は「制御性T細胞」のキャラクターが登場する漫画「はたらく細胞」の英語版のほか、“2つのネズミの置物”を寄贈しました。
そのうち一つは去年、104歳で亡くなった母・淑子さんが手作りしたものです。
大阪大学 坂口志文特別栄誉教授 「動物のおかげだということを忘れないようにとの意味で(母が)作って贈ってきた。もうこの年齢で自分で(動物の)実験をやることはないので、一つのメッセージとして、医学研究は動物を使わざるを得ない、同時に動物のおかげということを忘れてはいけない、研究者はどちらもちゃんと分かっているという意味で寄贈した」
坂口さんは妻の教子さんからのネズミの置物も贈っています。
これまで二人三脚で研究してきた坂口さん夫妻同様に、母・淑子さんが作ったネズミと2匹仲良く博物館にいてほしいという思いが込められています。