売り上げが大きく落ち込んだ岡山市で50年近く親しまれてきた居酒屋は店の再開を諦め、テイクアウト専門店として再出発しました。
(記者) 「岡山市で半世紀近く続いた居酒屋です。入り口には営業の終了を知らせる張り紙が張られています」
岡山市北区の居酒屋成田家田町店では、店主の山田三八夫さん(67)が店内を片付けていました。妻のさなみさん(68)や息子の修一さん(46)と50年近く店を切り盛りしてきましたが9日、最後の居酒屋営業を終えました。
(山田修一さん) 「本当お客さんがみるみる減ってきたんで、もう駄目じゃいうことで」
(山田三八夫さん) 「メニューいらんね」
毎日変わるメニューや安くておいしい料理に定評があり、県外からの客も多い人気店でした。しかし、新型コロナウイルスの影響で4月の売り上げが2019年に比べて75パーセント減り、居酒屋営業をやめざるをえませんでした。
(山田修一さん) 「こういう形でのぼりをしようかなと思って」
それでも3人はテイクアウト専門店として、店を再出発させると決めました。
(山田修一さん) 「生活していかなきゃ。ここに来て新しいことをやるというのは想像もつかなかったけど、やっていかないといけないでしょうね」
(山田三八夫さん) Q.このネギは? 「あすの湯豆腐、とり酢。ただもう頑張るしかないね、頑張るだけでお客さん来てくれたらいいんじゃけど」
テイクアウト初日の11日、3人は朝早くから準備に取り掛かり、開店までに看板メニューだった品々や総菜プレートが完成しました。
そして開店直後からなじみの客が次々とやってきました。
「天ぷらメニューにないのに揚げてしまっとるからどうすりゃいいんか分からん」
慣れない接客でもお客さんは嬉しそう。
(常連客はー) Q.閉まるって聞いてどうだった? 「ショックで泣きました」 「どこかでまた再開できるんじゃないかと思って期待も込めて来店した」
半世紀近く守ってきた味をこれからも届けるため、摸索の日々が続きます。