日本の伝統的な履物、草履の話題です。香川県まんのう町に自然に囲まれながら草履を作っている男性がいます。
男性が編む草履は力強さと、ぬくもりを感じる一足です。
力強い手つきで草履を編んでいるのは、達痲草履工房(だるまぞうりこうぼう)の寺田真也さん。草履作りを始めて18年目になります。
寺田さんの草履は全てオーダーメイドです。
(達痲草履工房/寺田真也さん)
「通常の草履に比べて厚みがある分ですね、履きこんでいくうちに自分の足の型がしっかりついていきます。なので、とにかく履きこんでいくと自分の足にどんどんどんどん馴染んでいく履物の1つやと思います」
徳島との県境に近い「まんのう町勝浦」。周囲を山に囲まれた場所に自宅兼工房があります。
寺田さんは、ここで妻の麻衣子さんや3人の子どもと暮らしています。
(達痲草履工房/寺田真也さん)
「不便さは特に感じることなくて、やっぱとにかく山の水で暮らせるっていうところが一番良くて。そして、この山の中で鳥の音とか獣の声とかですね。それだけの中で暮らせるっていうぜいたくさは、とにかくここに来て本当に痛感しています」
寺田さんは20代の頃、バックパッカーとして世界20カ国を歩きました。
そのときに履いていたのが「七島藺(しちとうい)」という植物で編んだ草履でした。
(達痲草履工房/寺田真也さん)
「今僕の知ってる限りだと、この『七島藺』を使って草履を編んでいる方は3人から4人ぐらいと聞いています」
「七島藺」は、大分県の一部の地域で栽培されていて、イグサの5倍ほどの強度があります。しかし、栽培に手間がかかるため生産量が少ないのが現状です。
そこで、寺田さんは知人から苗を譲り受け、自らの手で無農薬栽培を始めました。
(達痲草履工房/寺田真也さん)
「元々僕草履が好きだったんで色んな素材の草履を履いてきたんですけど、とにかく初めて足を通した時の感覚とか強度に僕が惚れ込みまして。これは自分が身につけて、次世代に繋いでいけるような橋渡しができたらなっていうことで、編み始めることになったんですけど」
「七島藺の草履」に出合って約20年。自然と共に暮らしながら、日本古来の伝統文化を守っています。
(達痲草履工房/寺田真也さん)
「本当にあの、手の感覚での仕事なんで、編めば編むほど上達していくのも自分ですごくわかっていくし、僕が草履好きだったのもあるんですけど、やっぱり自分で育てた植物で編んでいけるっていうのは楽しいしかないですかね」