冬から春にかけてが旬のイチゴ。香川県坂出市の化学品メーカーが北海道の企業と共同で、夏に収穫できるイチゴの試験栽培を進めています。
(中濱綾那リポート)
「大粒のイチゴ!実は北海道で生産した苗を育て試験栽培できたイチゴなんです」
2021年1月からイチゴの試験栽培を行っているのは、工業用や医薬用の無機化学品の製造などを行う坂出市の協和化学工業です。イチゴの苗の生産から栽培、流通までを手掛けている北海道の「ホーブ」との共同開発です。
試験栽培しているのは「夏瑞(なつみずき)」という品種です。
夏イチゴはケーキなどの業務用として出回ることが多く、硬くて酸っぱいのが特徴です。夏瑞は約20年品種改良を重ね、甘くてみずみずしいんです。
(中濱綾那リポート)
「甘い!上から下までヘタのぎりぎりまで甘い」
夏瑞の平均糖度は15度から16度。北海道以外で栽培するのは初めてです。
試験栽培では協和化学工業の強みを生かし「エンドファイト」という微生物を利用しています。
「エンドファイト」は植物の体内に入り込んで成長を早めたり、病気や虫から守る効果があり、肥料や農薬に代わるものとして期待されています。
(協和化学工業アグリバイオ課長/井上良恵さん)
「高冷地、涼しいところでしかできない夏イチゴなので、我々の技術をもって北海道のホーブの方々のご協力の下、新しい品種として温暖地域でも育つイチゴを開発していきたいと思っていますので。夏イチゴはほとんど輸入に頼っていますので、国産イチゴでまかなえるくらいたくさん作っていきたいと思っています。それが夢です」
(ホーブ 内部監査室/大橋孝文 室長)
「生育自体は順調に育っていまして、ただこれから暑さが高温環境になっていくので、対策はいろいろ必要になってくるかなと」
協和化学工業では今後、温暖な地域で栽培できるイチゴの苗の開発や、他の果物や野菜への栽培技術の応用を目指します。