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【解説】どう防ぐ?子どもの新型コロナ感染 対策や課題とは

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 新学期スタート、子どもの感染にどう気を付ければ良いのでしょうか。

 夏休みも終わり集団生活が再開。心配されるのは子どもの新型コロナ感染です。

 岡山県で子どもの患者を積極的に受け入れている医療機関では、以前に比べて子どもの受診が数倍に増えているといいます。集団生活の再開で今後感染者がさらに増えることも懸念されています。

 子どもの感染を防ぐにはどうすれば良いのか、大人に求められる対応とは? 対策や課題に迫ります。

岡山市や高松市などの公立の小中学校で2学期がスタート

 笠岡市の公立の小学校では自主的に欠席した児童が増えたため8月31日に「休校」となりました。

 経緯を見ていくと、ある学年の担任教諭が8月30日に新型コロナに感染したため、その学年を9月3日まで臨時休業としました。

 そして8月31日、別の学年の児童あわせて178人が「自主的」に欠席する事態となり、8月31日から9月3日まで全学年を「休業」つまり臨時休校するとしました。

 2学期になり集団生活が再開したので、今後こうしたケースが増えることも心配されます。

 子どもの感染を防ぐには、どうすれば良いのでしょうか。

 今週、岡山市や高松市などの公立小中学校で2学期がスタート。

 岡山市教委は感染対策への協力を保護者に文書で依頼しました。

 その中で同居家族に「風邪症状」が見られる場合は、症状が回復するまで登校を控えるよう呼び掛けています。

保育園での感染対策は?

 岡山市中区の岡山協立保育園では、インド由来のデルタ株の感染拡大を受け感染対策を「強化」しています。

 9月1日から始めたのが、毎日提出してもらう児童の健康管理表で家族の健康状態も把握する取り組みです。

(岡山協立保育園/坪中弘子 園長)
「保護者の方についても咳とか鼻水とか37.5度以上の発熱があったかどうかが分かるように。早い対策ができれば家族から保育園に広がることも減ってくると思うんです」

 大人から子どもに感染するのを防ぐため、保育士の感染対策も強化。昼食を教室の外の通路で食べたり休憩室の利用を禁止したりしています。

 そこには保育の現場ならではの苦悩がありました。

(岡山協立保育園/坪中弘子 園長)
「子どもと保育士の密の関係も子どもの発達にとっても大切なことですし、そこを減らせるとかなくすっていうことはできないと思うんです。だからその代わりに保育士も自分たちの健康管理を注意して行っていますし、園を安全に運営して子どもたちが毎日安心して来られるように精一杯のことをしながら社会を支えていきたい」

医療現場では子どもの受診が増加

 一方、医療現場では子どもの受診が増えています。

(国立病院機構 岡山医療センター小児科/清水順也 医長)
「今までよりは感染者の中で受診される数は数倍ぐらいにはなってるかなと思います。第5波では熱が高いお子さん、熱が長く続くお子さん、風邪の症状が通常よりも強いお子さんが増えている印象です」

 岡山県の要請で小児の患者の受け入れを積極的に行っている「国立病院機構 岡山医療センター」。子どもの感染経路に「ある変化」を感じています。

(国立病院機構 岡山医療センター小児科/清水順也 医長)
「お子さんが熱・風邪症状が続くということで検査を受けられると、新型コロナ感染だったと。ご家族は誰も陽性者がいないというケースも実際あります」

 子どもが陽性で親が陰性の場合、家庭内感染ではないため感染経路ははっきりしませんが、子ども同士で感染した可能性も考えられます。

 集団生活の再開で、子どもの感染拡大を懸念しています。

(国立病院機構 岡山医療センター小児科/清水順也 医長)
「学校が始まりますといろんな活動の範囲が増えてきますので、しっかり対策してもどうしても感染するリスクは夏休み期間中よりは出てくると思います」

子どもの感染はどれぐらい増えている?

 岡山・香川の20歳未満の1週間の累計の新型コロナの感染者数を見ると、岡山県では7月上旬には0人、香川県では7人だったのが、8月中旬には岡山県では159人、香川県では128人と1カ月余りで急増しているのが分かります。

 8月中旬でこの数字なので、集団生活が始まると子どもの感染者が増えるかもしれないと懸念されています。

子どもの感染を防ぐためには

 今後、感染拡大を防ぐために、ある保育園からはこんな提案がありました。

「行政が簡易検査キットを現場に配布して定期的に職員の検査を行うようにすれば、現場の人間も安心する。あすは我が身でいつクラスターが発生するか分からない。感染者をいち早く把握することが大事だ」と話していました。

 専門家も早期の発見が大事だと指摘しています。

 政府の予防接種・ワクチン分科会の会長代理を務める川崎医科大学の中野貴司教授は「病原体が誰にでもうつりやすくなったので子どもの患者さんも増えている。クラスターに早く気づくことが大切。発熱とか風邪症状ある場合は積極的に検査を行って確認してほしい」としています。

 そうした中、感染拡大を防ごうと進めているワクチン接種ですが、岡山市や倉敷市では9月30日から12歳から14歳の予約が始まるなど、若年層への接種はこれから本格的に始まります。

 政府は現段階では接種対象年齢を「12歳以上」としていますが、12歳未満は今後どうなるのでしょうか。

 政府の予防接種・ワクチン分科会の会長代理を務める川崎医科大学の中野教授は。

(川崎医科大学 小児科学/中野貴司 教授)
「海外ではすでに12歳未満に対する臨床試験を進行中、進んでいると聞いています」

 海外の臨床試験では12歳未満に接種した場合に大人と同じように免疫がつくのか、副反応はどれぐらいの頻度で起きるのかなどについて調べているということです。

 日本での接種の開始時期については。

(川崎医科大学 小児科学/中野貴司 教授)
「海外での成績が良ければ12歳未満の方にこれから使うってことにそんなに遅くなく、数カ月とか1年はかからないんじゃないかと思ってますが、進展はあるのではないかと思っています」

 中野教授によると現時点で子どもが重症化する確率は、30代の元気な大人よりもはるかに低いと分析しています。

 ただ、新学期子どもの感染を防ぐには大人も子どもも風邪症状がある場合は集団生活の場所に行かないようにして感染リスクを減らすことが大事だとしています。

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