ハンセン病療養所の「いま」を伝える写真展が、高松市で開かれています。撮影したのは、俳優で、写真家としても活動する石井正則さん。写真展に込めた「思い」とは?
(俳優/石井正則さん)
「これは長島愛生園ですね、収容桟橋。橋がかかってなかった時代に入所する皆さんが(船で)連れて来られた。2021年に行った時にはもっとなくなっていましたね。とにかく撮らなきゃ、っていう気持ちで撮ってたんですけど、改めて訪れてみるとどんどん変わっていくな、という印象は受けますね」
写真展「13(サーティーン)」では、石井さんが2016年から3年をかけて、全国13カ所のハンセン病療養所を巡り、大型のフイルムカメラで撮影した24点の写真を展示しています。
写真は石井さんが一枚一枚手焼きしたもので、会場の準備も自ら手がけました。
(俳優/石井正則さん)
「その場に行って、フィルムにおさめて、手で焼いた写真には、その場の空気が宿っているというか、そこにある時間がそのまま映っている感じがあるので、目で見に来るというよりは、この空間を肌で感じに来てほしい」
ハンセン病は感染力が非常に弱い病気ですが、かつて国が定めた「らい予防法」によって、多くのハンセン病患者が強制隔離され、差別や偏見に苦しみました。
高松市の大島にある療養所「大島青松園」の解剖台は、入所者に解剖の承諾を求めていた時代に、実際に使われていたものです。テレビで目にしたその光景が、石井さんが活動を始めるきっかけになりました。
(俳優/石井正則さん)
「(実物を見た時に)こんなに小さいんだ、と思ったんですよ。自分が感じた衝撃の大きさと『もの』の小ささという相反するものを写真におさめることができるのか。僕の中では一番解剖台が小さく見えるアングルのカットを選んだんですけど、自分の衝撃の大きさが映っちゃうんですよね。一番苦労したと思います、あの写真は」
家族と縁を切り、故郷に帰れないまま亡くなった入所者が眠る納骨堂。ハンセン病療養所を象徴する写真です。
満開の桜の写真。入所者が地域住民と一緒に花見をしたいという願いを込めて、植えたものだそうです。
(俳優/石井正則さん)
「隔離されてしまうという大変な人生を歩まれて、力強く生きて来られた方のエネルギーをいただける感じがあるんですよね。重たい歴史がある場所なんですけど、その先の未来も確かにあるんだぞということも示した写真の展示になっていると思うので、まずここで感じていただいて、(療養所に)行っていただけるきっかけになるというのが一番うれしいですかね」
(来場者は―)
「写真を通して感じられることっていっぱいあると思ったのですごく感動しました」
「前向きに進んでいっているんだな、力強く生きているんだなというのが分かるような写真でした」
「最初の日に来ようと決めていたので、楽しみに待っていました。(療養所に)行ってみたいなと思って、実物を見てみたいなと思いました」
石井正則さんの写真展「13(サーティーン)」は、高松市の瓦町フラッグ8階で16日まで入場無料で開かれています。