防災の話題をお伝えする「こつこつ防災」。
東日本大震災から2022年3月で11年が経ちました。高松市には被災者の言葉を「書」にしたためる活動をしている男性がいます。男性は次の世代に残していこうと言葉を詰め込んだ冊子を作りました。
被災者の言葉を「書」に
『おばあちゃん 泳げないのにいつまで海にいるの デイサービスの車がくるよ』と書かれた作品。こちらを書いたのは高松市の書道家、池田秋濤さん(70)です。
東日本大震災から11年となるのを前に、被災者のメッセージが詰まった冊子を香川県教育委員会に贈りました。
(書道家/池田秋濤さん)
「1つの言葉でもメッセージでもいいから読んで、気持ちが、生き方が変わったっていうきっかけになってくれたら」
「すごい言葉」を知って行動へ
池田さんは東日本大震災の翌年、2012年に宮城県東松島市などの被災地を訪れました。そこで、被災者が作ったストラップに添えられた言葉を目にしました。
(書道家/池田秋濤さん[2021年])
「これはすごい言葉があるなと思って。ぜひ集めて、みんなに知ってもらわないといけないと思って、このメッセージ展をやらないといけないなと思って」
書道家の池田さんは被災者の言葉を「書」にして、これまでに30回以上展示会を開いてきました。
(池田さんの書より)
『がれきと一言で 片づけないで 昨日までは自慢の家』
『波の音が子守歌だった 今でも海が好きです ここが私のふるさとだから』
メッセージや活動をまとめた冊子が完成
2022年1月、池田さんは100ほどの作品の中から選んだ45のメッセージと自身の活動などをまとめた冊子を完成させました。そして、330冊を香川県の小中学校や図書館などに贈りました。
(書道家/池田秋濤さん)
「香川県だと災害が少ない所だから『来ないわ』じゃなくて、『もし来たら』だけでもいいから考えてほしい」
そして、次の活動にも目を向けています。
(書道家/池田秋濤さん)
「もう一度、今行ってみたい。ずっと残って子どもや孫のためにふるさとにするんだと言った、残してやろうとする大人たちの声を聞いてみたい」
この冊子は高松市植松町のアートギャラリー「NAYA-NANYA」で販売しています。