岡山県議会の文教委員会が家庭での教育を社会全体で支援しようという「家庭教育応援条例案」を提案しました。この条例案を巡っては「価値観の押し付けだ」などとして、県民などが反対の署名を提出していましたが、賛成多数で18日、可決されました。
(記者)
「条例案に反対する県民たちは委員会審議のたびに議会前で抗議のスタンディングを行ってきました。けさも雨が降りしきる中、およそ40人が集まりました」
18日の本会議で、県議会文教委員会の福島恭子委員長が「全ての保護者が安心して家庭教育を行うことができるよう目指す」などと提案理由を述べました。
「岡山県家庭教育応援条例案」は社会全体で家庭教育を支えるための保護者や学校、地域住民などの役割を定めたものです。保護者には「学び、成長すること」を促しています。
これに対し、「行政が家庭のあり方を一方的に押し付け、困難を抱える家庭や子どもを排除するものだ」などとして条例の制定に反対する県民の有志が2022年1月、2万2000を超える署名を議長らに提出しました。
県議会は、委員会審議で条例の素案にあった「子どもが将来親になるために」という文言を、「将来親になる選択をした場合のために」と変更するなど約30カ所を修正しました。
18日の本会議では民主・県民クラブの議員らが条例案に反対する立場で討論しました。
(民主・県民クラブ/高原俊彦 議員)
「日本における親子関係には多様なものがあり、誰かが考える親、保護者のイメージや特定の価値観に基づく条例の制定には慎重であるべき」
採決では、民主・県民クラブと共産党県議団が反対、自民党県議団と公明党県議団、無所属議員の賛成多数で条例案を可決しました。施行は4月1日です。
(条例に反対していた傍聴者は―)
「今の岡山県議会には『そういう押し付けないでください』という当たり前の声を受け止めていただくだけのこともできないのだなと感じた」
(県議会文教委/福島恭子 委員長)
「いろんな状況にある家庭や子どもを社会全体がしっかり支えていく、応援していく条例になっていくと思う」
岡山県の伊原木知事は――。
(岡山県/伊原木隆太 知事)
「反対する一般県民の方もいらっしゃることも理解している。執行部としてはそれぞれの家庭を支援しながら、それは教育だけでなく福祉も含めて支援をしながら、教育環境の改善に努めたい」