原動力は「素材への愛情」です。岡山県真庭市のチーズ工房とジェラート店が協力し、チーズの製造過程でできる「ホエイ」という副産物をつかった新しいジェラートを開発しました。
真庭市蒜山中福田にあるチーズ工房「IL RICOTTARO(イル・リコッターロ)」です。
店主の竹内雄一郎さんはイタリアのシチリア島でチーズについて学び、蒜山で採れた生乳で、チーズをつくっています。
生乳からチーズづくりに必要な固形分を取り除くと「ホエイ」というほんのり甘味のある半透明の液体が残ります。乳清とも言います。
(山下佳乃リポート)
「ほのかに酸味を感じるんですけど、でも全然言うほど酸味も強くも無く感じます」
こちらでは「ホエイ」を加熱してつくるイタリア発祥のチーズリコッタも製造しています。
工房の名前「イル・リコッターロ」は、この「リコッタ」が由来で、竹内さんは素材の「ホエイ」に特別な愛着を感じているそうです。
ただ、使い切れなかったものや発酵が進んだものはこれまで廃棄せざるを得ませんでした。
(IL RICOTTARO/竹内雄一郎さん)
「リコッタチーズみたいなホエイからくる独特のうまみや香りがあっておいしいホエイを、より生かせる方法がないかなということで悩んでいて」
そんな竹内さんが相談を持ち掛けた先は、同じ真庭市のジェラート店。地元素材を使ったジェラートづくりに取り組んでいる「醍醐桜」です。
ホエイを使ってジェラートをつくってみたところ――。
(ジェラート醍醐桜/山本英伸さん)
「私自身も食べたことがないホエイの発酵の香りだとか、ちょっとした酸味とかそういったものが加わっているので、すごい奥行きがあって面白いなと思いました」
(山下佳乃リポート)
「酸味の裏にしっかりミルクの甘い香りも漂ってくるので、すっごくおいしいです」
醍醐桜はホエイを使った2種類のジェラートをつくり、4月から販売しています。
ホエイは毎週約40リットル、醍醐桜に届けられています。
(ジェラート醍醐桜/山本英伸さん)
「ホエイのジェラートがきっかけで、今まで捨てていたものも活用できるということを知っていただいて、お客さんにも少しそういう気持ちを伝わればなと思っています」
(IL RICOTTARO/竹内雄一郎さん)
「単なるホエイだとどうにも。その場で飲むとおいしいですけど、どんどん酸っぱくなってどうにも活用しにくかったものが、楽しいことというか、つながりで新たなものが出来上がることに喜びを感じます」
ホエイを使ったジェラートは、店頭か、ジェラート醍醐桜のオンラインショップでも買うことができます。