さまざまな資格取得に挑戦している高校生を紹介します。倉敷工業高校3年の若林伽音さんは2022年、高校生の合格率は約20%という難関資格「危険物取扱者 甲種」に一発合格しました。この他にも部活と両立しながら10個以上の資格を取得した若林さん。その勉強法や資格取得の難しさについて聞きました。
専門外の「難関資格試験」に一発で合格
倉敷工業吹奏楽部はまもなく始まる軟式野球部の全国大会の応援に向けた練習の真っただ中。
(倉敷工 3年/若林伽音さん)
「(部員が少ないの?)部員は何人かな? 13人? (部員募集の)アピールアピール……。みんな仲良くって……入りやすい。あっそう! 甲子園に野球応援しに行ったりします」
取材中、吹奏楽部のアピールをたくさんしてくれた、3年生の若林伽音さん。彼女が一発合格した“ある難関資格試験”とは――。
(倉敷工 3年/若林伽音さん)
「『危険物取扱者』の『甲種』という資格です。ガソリンとかそういうのから、爆弾の爆薬みたいなやつの原料とかいろいろあります」
危険物取扱者には、上から「甲・乙・丙」の3種類があります。今回若林さんが取得した「甲種」は、消防法で定められた危険物すべてを扱うことができる最難関の資格です。
受験するには一定の条件を満たすことが必要で、2021年の「甲種」の受験者2万2000人のうち高校生は900人あまりです。全体の合格率は約40%ですが、高校生に限ると20%ほどです。
最初は学校のすすめで「乙種」を受験した若林さん。次々と合格して甲種に挑戦することを決意しました。
(倉敷工 3年/若林伽音さん)
「中学校の時の理科とかは好きだったんですけど、甲種の勉強はレベルが違ってすごく難しいんですけど、やっていったらだんだんちょっと楽しいかなって」
法令についての知識だけでなく、物理や化学などの専門知識も必要になる「甲種」。倉敷工業では「工業化学科」から毎年数名が合格しています。しかし、若林さんは「テキスタイル工学科」で主に繊維やデザインなどを学んでいます。
(倉敷工/藤岡麻奈 教諭)
「うちの繊維科系の学科が始まって以来初めての合格で、すごく難しい試験です。専門外なのですごく大変だったと思うんですけど、よく頑張ってくれたと思います」
(倉敷工 3年/若林伽音さん)
「普通の化学の勉強はするけど(授業では)そこまで突っ込んで勉強はしません。(Q.勉強は独学?)独学と教科書というか、買った本で勉強しました。(朝)職員室が開く前に30分勉強して、10分休みもずっと勉強して、帰って3時間か4時間くらい」
その勉強の証、ノートを見せてもらうと、かわいいノートにかわいい字で「危険物」という文字が――。
(倉敷工 3年/若林伽音さん)
「私もその時はウケ狙いで自分で笑いながら書いてました。最初に参考書を読んだり書き写したりして大事なところをまとめて、その後に自分で問題を解いていって、間違っていたところはなんで間違っていたのか横に全部書いていって、そんな感じで繰り返し」
資格取得に挑戦してきた“きっかけ”は憧れの友達
(倉敷工/藤岡麻奈 教諭)
「毎日コツコツ一生懸命、本当によく頑張ったと思います。いろんな資格を取っているので甲種だけじゃなくて」
実は若林さん、他にも数多くの資格取得に挑戦してきたんです!
(倉敷工 3年/若林伽音さん)
「計算技術検定2級とパソコン利用技術検定3級とリスニング英語検定3級、グラフィックデザイン検定3級、色彩検定3級、織物設計検定3級、染色検定3級、ジーンズソムリエ、トレース技能検定3級、レタリング技能検定3級、危険物取扱者 乙種 第1・3・4・5・6類、危険物取扱者の乙種です。(甲種?)あ、甲種です!」
どうしてこんなに多くの資格に挑戦したのでしょうか?
(倉敷工 3年/若林伽音さん)
「友達が資格をいっぱい取っている子がいて、見習ってチャレンジ一緒にしてみようかなって」
その友達は若林さんと同じ吹奏楽部の安田百花さんです。
若林さん「憧れというか……(Q.さっき言ってた友達が彼女?)そうなんです。クレーンを操れるんよな」
安田さん「トラックの荷台についているクレーンの操作ができるのと、そのクレーンの荷物を引っ掛けること玉掛けすることができます」
若林さん「(学科は)同じテキスタイル」
安田さん「(Q.テキスタイルなのにクレーン操るの! なんで取ったの?)なんかかっこいいなあって」
若林さん「(Q.お互い競ったりする?)そんなことはない。私がずっと追いかけてる」
憧れの友達を追いかけて、気付けばたくさんの資格を手にした若林さん。現在は就職試験に向けて履歴書作成に励んでいます。
(倉敷工 3年/若林伽音さん)
「(Q.今後夢や目標は?)えっと……ないです(笑)。あっそうです、就職試験に合格が夢です。いや目標です。(Q.夢は探し中?)探し中です」