子どもたちの今を伝える「こどもミライパーク」。文部科学省は11月29日、「新型コロナウイルスの感染防止について『適切な対策を行えば』、給食の時間に会話をすることも可能」とする通知を、全国の教育委員会などに出しました。感染者数の増加や、インフルエンザとの同時流行など懸念もある中、教育現場の反応は? そして、子どもたちの思いは?
(記者リポート)
「倉敷市にあるこちらの小学校では、きのうから、子どもたちに『大きな声を出さずに周りにいる人としゃべってもいいよ』ということを伝えています。ただ、あまり会話をする様子は見られません」
倉敷市の万寿小学校では、コロナ禍以降、給食時間には窓を開けて換気を行う、向かい合わせにならないなど、感染予防の対策を取った上で黙食を続けてきました。
今回の文部科学省の通知では、適切な対策を行えば、マスクなしで、食事中の会話もOKとなっています。
(4年生の児童は―)
「コロナになってから全然しゃべれなかったけど、黙食がなくなってしゃべれるようになったのでうれしいです」
4年生のクラスでは、「会話ができるようになってうれしい」という声もあがりましたが……。
マスクを外して食事をする間はもちろん、先に食べ終わった児童が本などを読みながらおとなしく過ごす様子が見られました。なぜ、こんなに静かなのか。子どもたちに聞いてみると――。
(4年生の児童は―)
「うれしいけど、コロナの状況が続いてたから、慣れない状況です」
「しゃべりたいけどマスクもしてないしコロナがそもそもなくても飛沫が飛んでしまうので、給食時間にはそんなにしゃべりたくはない」
「(Q.本当はもっとしゃべりたい?)そんなにしゃべることがないというか……」
低学年の頃には向かい合って会話をしながら給食を食べていた4年生も、環境の変化にとまどいや不安があるようです。
(4年生担任/小林香凛 先生)
「しゃべっていいよと言った瞬間は『やったー』と喜んでいたんですが、いざしゃべっていいとなると、どのタイミングで何をしゃべったらいいか分からない様子で、みんないつも通り黙食を続けていました」
万寿小学校では、1年生2クラスが、新型コロナで6日から学級閉鎖になっています。黙食の緩和については、感染状況や子どもたちの様子を見ながら、慎重に取り組みたいとしています。
(万寿小学校/井上義一 校長)
「今の子どもたちは現状、今のような形で、会話をせずに同じ方向を向いて給食を食べているということが当たり前のようになっています。急におしゃべりをしてもいいですよという話になっても、とまどうかなと思いますし、まだまだ子どもたちの中には(新型コロナに)不安を持っている子もいますし、感染症対策についてフリーになったわけではありませんので、(給食の黙食緩和については)徐々に子どもの様子を見ながら指導をしていかないといけない」
一方、高松市教育委員会は11月30日に給食時の「黙食」について「座席の配置を工夫したり換気を行うなどの措置を行えば、会話も可能」と各学校へ通知しました。しかし、学校現場からは、現在の感染状況を考えると、以前のように会話を楽しみながら給食をとるのは難しく、すぐには元通りにはならないという声が上がっているということです。