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【判決詳報】香川県のゲーム条例「弁護士費用」訴訟 高松高裁は住民側の控訴を退ける

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 香川県の「ゲーム条例」が憲法違反かどうか争われた裁判で県が支払った弁護士費用が「高すぎる」と住民が返還などを求めたもう一つの裁判です。高松高裁は住民側の控訴を退ける判決を言い渡しました。

 子どものゲームの時間の目安などを盛り込んだ香川県のゲーム条例は「憲法に違反する」として元高校生らが県に損害賠償を求めた裁判は、2022年8月、高松地裁が原告の訴えを退ける判決を言い渡し、確定しました。

 この裁判で、被告の香川県は顧問弁護士に加え、東京と愛知の弁護士に代理人を委任し、3人に着手金あわせて161万7000円と、勝訴を受けた報酬金あわせて323万4000円、計485万1000円を支払いました。

 香川県に住む元高校教師やITエンジニアら男女5人は、2021年10月、「この弁護士費用は違法な支出だ」として返還などを求めて県を提訴。

 高松地裁は2023年1月、「争点が多く、分担して対応する必要があった」などとして、原告の訴えを退けていました。

 控訴審で原告側は「原告の代理人は1人であり、争点の多さを理由に弁護士3人に委任したのは県の裁量を逸脱している」などと改めて主張。科学的根拠がなく憲法に反する条例について県が廃止や改正を検討せずに訴訟に応じた違法性も主張していました。

 しかし、高松高裁の阿多麻子裁判長は「香川県が応訴を許されないほどに条例が一見して明白に憲法に違反して無効である事情は認められない」「裁判の重大性や訴訟活動の難易性も考慮すれば3人の代理人選任や報酬の算定は適正かつ妥当で、県が裁量を逸脱、濫用したということはできない」などと指摘しました。

 その上で、原告側が損害賠償を求めた相手のうち、子ども政策課の職員については「財務会計行為を行う権限がなかった」として一審判決を変更して訴えを「却下」。それ以外の原告側の請求を棄却する判決を言い渡しました。

(原告側代理人/作花知志 弁護士)
「地方財政法4条という規定がありまして、公金の支出というのは目的に照らして最小限度じゃないといけないと。応訴しないと(裁判に応じないと)いけないという話と、税金をいくらでも出していいのかというのは全然違う話ですよね」

 原告側は上告する意向を示し、「最高裁に条例そのものの違憲性も積極的に判断してほしい」としています。

 一方、高松高裁判決では「被告の香川県には憲法32条で裁判を受ける権利を保証されている」という被告側の主張について「地方公共団体が憲法32条にいう裁判を求める権利の享有主体であると解することはできない」と否定しました。
 ただ、被告とされた地方公共団体が自らの法的見解や事実関係を主張立証することは司法権(憲法76条1項)の行使の過程に含まれているものと言え、憲法により禁じられているとは言えないとして、控訴棄却の判断には影響を及ぼしませんでした。

(原告/松崎光成さん)
「香川県及び香川県議会は、憲法32条すら全く理解していないと。つまり国民の裁判権と県の裁判権が全く同じだと思い込んでるほど、ひどい憲法理解しかないということを高裁は明らかにしてくれた。それを見て最高裁は、じゃあこういう県や県議会が作った条例はもしかしたら怪しいなと、そういう前提から入ってくれたらうれしい」

 被告の香川県は「県の主張が認められたものと認識しています。引き続き、県行政の適切な運営に努めてまいります」とコメントしています。

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