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【解説】徳島文理大学のキャンパスがJR高松駅前に移転 狙いは?街はどう変わる?

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 4月、JR高松駅前に新たに誕生する「徳島文理大学」の高松駅キャンパス。さぬき市志度にあるキャンパスを4月に全面移転します。その狙いは?

(松木梨菜リポート)
「実習で使う機械なのでしょうか。机なども搬入されています。来月の開学に向けて準備が進められています」

 徳島文理大学は学生を増やすため、JR高松駅前に新しいキャンパスを整備し、4月に全面移転します。

 総合政策学部や香川薬学部など5つの学部と大学院があり、約1300人の学生と教職員200人ほどの合わせて約1500人が利用します。

 保健福祉学部の実習室にはCTなど病院で使われる医療機器が並びます。

(学生は―)
「だいぶ利便性が良くなって楽しみですね」
「臨床工学技士を目指しています。最近日赤病院に見学に行って、街の方の病院の見学が増えるのはうれしい」

(村崎学園[徳島文理大を運営]/村崎文彦 理事長)
「街で学ぶ、そして街から街に学ぶという形で、街の魅力をその子たちは見ることができますから、その際に将来働きたい、将来住みたい街として高松市を選んでいただけるには十分魅力ある街だと思いますので」

香川県の志願者数が倍以上に

 香川県によると現在、大学進学時に県外に進学する割合は約8割にのぼる一方、Uターン就職率は3割程度にとどまるなど若い世代の県外への流出が課題となっています。

 徳島文理大学では今回の移転で香川県の志願者数がこれまでの2倍以上になりました。

(村崎学園[徳島文理大を運営]/村崎文彦 理事長)
「少子化の時代の中で本学をみてくださったのは非常にうれしいことですし、ご希望されて県内に残ってくださることが増えることが一番うれしいことと考えています」

 さらに高松市内ではある変化も。

賃貸物件が不足 学生向けマンションの整備も相次ぐ

 徳島文理大学は4月、さぬき市からJR高松駅前にキャンパスを移転します。

 賃貸物件などを取り扱う高松市の不動産会社「グローバルセンター」では街の「変化」を感じています。

(グローバルセンター/谷口文香 取締役)
「今年に関しては10倍近く増えています。高松駅の2km圏内を見ますと物件は足りていなくなっています」

 高松市では「学生向けの賃貸マンション」の建設も相次いでいて、グローバルセンターによると2024年から2026年にかけ、合わせて約400戸の学生向けマンションが整備される予定です。

 まちづくりに詳しい専門家は―

(香川大学/西成典久 教授)
「これまでサンポート地区にいなかったターゲットというか年齢層が一気にやってくる。そこの影響は大きいと思います。地域経済に還元する経済の活性化とつながることが大きなメリットになってくると思います」

人口が減少するさぬき市…影響は

 現在、香川キャンパスがある、さぬき市の人口の推移です。

 2010年は5万3000人を超えていましたが、2024年には4万4000人ほどと1万人近く減っています。

 徳島文理大学の周辺には地元の不動産会社によると、約3000戸の学生向け物件があり、今回の移転でこうした賃貸住宅にも影響が出そうです。この周辺の街は今後どうなるのでしょうか。

 17日、移転前の最後の卒業式が行われました。

(卒業生は―)
「駅近になるんで県外から来る学生は通いやすくなるのかなと」
「にぎやかな場所になればいいなっていうのが一番で、その場所にいる生徒たちが明るく元気に大学生活を送ってもらえたらいいなと思います」

 大学から歩いて15分ほどのところにあるボウリング場。

(志度ファミリーボウル/佐藤雅哉 店長)
「大学生の利用がすごくあるわけではないのでマイナスはマイナスであると思うんですけど、飲食店さんは厳しくなるんではないかと。影響が出るんではないかと思います」

(利用者は―)
「学生がいなくなったら経済的にも違うと思うよ。さみしくなるわね、志度地区が。立派な学校があるので利用されないのはもったいないわな」

 さぬき市ではキャンパス移転後も学生にさぬき市に住んでもらえるよう対策をしています。

(さぬき市/大山茂樹 市長)
「さぬき市内に住所を持っていただいて高松駅前の大学に通うというのも可能なような手助けはしているんですけど」

 さぬき市は、市内に住む学生に対し年間6万円を補助する制度を2022年度に設け、4年間で最大24万円を補助しています。徳島文理大学の学生からの申請は2022年度から2024年度までに合わせて241件ありました。

 しかし2022年度に50件あった1年生からの申請は、2024年度は6件にとどまりました。さぬき市では、この春の新入生の申請も2022年度より減少すると見込んでいます。

(さぬき市/大山茂樹 市長)
「大学の生き残りをかけて学生さんを集めるためにはさぬき市では難しいということですので、その延長線上で対策は難しいんです」

周辺の学生マンションでは「退去ラッシュ」

 実際にどれぐらいの学生がさぬき市を離れるのか、地元の不動産会社で聞いてみると……

(池田理容不動産/池田幸子 代表)
「2年、3年生の方でもやはり高松に大学がいくっていうことで3分の2ぐらいの方は転居」

 池田理容不動産によると大学周辺には約3000戸の学生マンションがあるといいます。

(池田理容不動産/池田幸子 代表)
「卒業じゃないんですけど、高松のマンションとかに移られるって連絡があって今退去ラッシュですね」

 1週間ほど前に学生が転居した部屋を見せてもらいました。この部屋は家電や家具が付いて家賃は共益費込みで月3万3000円です。新たな入居者は決まっていません。

(池田理容不動産/池田幸子 代表)
「1棟を売って県外の投資家さんが買われてるっていうのもありまして、その方々も大学がずっとあるからっていうことで見通して買われたと思うんですけど、暗礁に乗り上げているのが実情です」

さぬき市「キャンパス活用で新たなにぎわい創出を」

 JR高松駅前に移転した後、香川キャンパスはどうなるのか。

(村崎学園[徳島文理大を運営]/村崎文彦 理事長)
「基本的には実験実習、学生の課外活動等に利用させていただけたらと。すぐにどこかに売却してというつもりはなく、われわれのキャンパスとしてしっかりと活用していきたいと思っています」

 一方で、さぬき市は企業誘致などで建物を活用させてもらえないか、大学側と協議しているそうです。

(さぬき市/大山茂樹 市長)
「市としたら大学というよりは民間の方にお使いいただけるのであれば新たなにぎわいを創出する、そういったことを大学の方とお話をさせていただいて協議には応じていただいています」

 香川キャンパスの敷地は約30万平方メートル、高台に位置しています。この立地を生かしてどのような可能性が見出せるのか。

(香川大学/西成典久 教授)
「災害が比較的少ないとかで日本全国でもデータセンターが置かれるとかですね、放っておいたら人口が増える構造ではないわけですから、新しい産業を生み出すとか農業のあり方を見直すとか新しい活路を見出さなければならない、そういう時期だと思います」

 学生が香川県で就職するには働く場所が必要になります。産業を生み出して有力な企業を成長させることが地方で人口を維持するために求められると思います。行政が旗振り役となることを期待したいと感じます。

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