3月23日、岡山市南区で発生した山火事は、6日目となる3月28日に「鎮圧」となりましたが、まだ「鎮火」には至っていません。焼損面積は約565haで、広い範囲で火災が広がったのが分かります。ここまで広がったのには山の歴史が関係していました。
(記者リポート・3月23日)
「消防がヘリで消火活動を続けていますが、黒い煙がもくもくと上がり続けています」
(記者リポート・3月25日)
「先ほどから風が吹いてきて、神社や民家のすぐそばまで炎が迫っています」
岡山県で記録が残る中で、過去最大規模の約565haが焼損した今回の山火事。
(岡山市/大森雅夫 市長・3月28日)
「本日、12時をもって鎮圧されたものとしたいと思います」
発生6日目となる3月28日に「鎮圧」。空き家と倉庫合わせて6棟に被害が出ましたが、けが人はいませんでした。
岡山市南区飽浦や玉野市など一部地域に一時「避難指示」が発令されましたが、28日までに解除されました。
(松木梨菜リポート・3月31日)
「岡山市南区飽浦です。このあたりでは一時、避難指示が出されていました。山をみてみますと、黒っぽくなっていて山肌が見えています」
専門家「通常の山とは異なる『土壌』が延焼拡大の要因」
山火事で荒廃した土地の再生に詳しい専門家は、延焼が広がった要因に「山の歴史」が関係していると分析しています。
(岡山大学/嶋一徹 教授)
「昭和20年代は完全なはげ山だった場所です。土壌含めた下の方はほとんどはげ山の状態から変わってないと、過去の歴史があるわけですね」
1940年代まで岡山県南部の山は木が伐採され、木がない、いわゆる「はげ山」だったそうです。
(岡山大学/嶋一徹 教授)
「ガスがありませんから、ガスや化石燃料の代わりに薪を使ってた。全部伐採して人間が使ってたと。畑に入れる肥料のために表面の落ち葉も全部取ってたと」
木を燃料にするために伐採が行われていましたが、岡山県によりますと戦後、国の支援を受けながら県が治山事業を進め、植林したという経緯があります。
岡山市南区で山火事が発生した周辺の山は花崗岩で、その上に植林しているため「土壌」が通常の山とは異なると専門家は指摘しています。
(岡山大学/嶋一徹 教授)
「植生が発達したけど土壌が発達しないで、砂みたいな土、真砂土しか残っていないと。ですから本来は有機物がある土壌がちゃんとあって水分を保持するのが、水分が保持できないと。1回火が付けば広がると」
嶋教授が現場周辺と同じような戦後に植林された土壌を調査したところ、花崗岩の上に5cm程度しか土壌がなかったということです。
こうした土壌には栄養分がほとんどなく植物が育たたないため、土壌の保水力も低いということです。
さらに降水量も年間1000mm以下と少なく、土壌の上に落ち葉がたまっても分解されずに乾いたままの落ち葉が積み重なるということです。
土壌の保水力も低く、乾いた落ち葉がどんどん重なっているところに火が付いたことで山火事が広がった可能性があるということです。
今後の懸念は「土砂崩れ」「水への影響」
一方で山火事が鎮圧された今後、心配されるのが「土砂崩れ」と「水への影響」です。
岡山市南区飽浦の住民からは今後を心配する声が聞かれました。
(地域住民は―)
「昔はこの山にあがって落ち葉とか枯れ枝をかいたりしていたんですけど、私たちが若い時のことですから何十年も前のことで今は荒れ放題でしょう。危ないなという気もするんですけど、岩が結構あるから土砂崩れも心配するんでしょうけど」
山に近い神社では―
(神社の宮司の妻)
「研究をしていただいている方に、はっきりとどういうふうにしたらいいか聞いて(対策を)やりたいなと思います」
専門家は人が生活する場所に近いところでは早急な対応が求められると指摘します。
(岡山大学/嶋一徹 教授)
「たとえば国道脇は土砂が落ちてきて事故がある可能性はありますので、道路がある小学校があるところは早急に緑で覆ってあげて、土砂崩れなり表面の水の流れを止めてあげる必要があると思うんですね」
どのように対策を進めるのか。
(岡山県治山課/藤井恒一郎 総括参事)
「人の手で木を植栽してくのが中心になろうかと思います。家の裏ですとか、小学校の公共施設の山から、岡山市と玉野市と協力しながら、多くの方と相談しながらこれからどういう形で復旧を図っていくのか決めていきたいと思っています」
岡山県では国にも支援を求めながら普及策を検討する方針です。
さらに現場周辺では「水」への影響が心配されています。
今回、焼損した山の周辺には「ため池」がいくつかあります。今後、雨が降った場合、ため池に土が入り込んだり燃えた枝などが入ると、ため池の維持管理に影響が出る可能性が考えられます。
全国で相次いでいる山火事ですが、こうした山火事を防ぐために対策はあるのでしょうか。
(岡山大学/嶋一徹 教授)
「道路脇燃えないように草刈りしてますよね、一生懸命。そういう行政の取り組みと、われわれが『燃えやすいから気を付けよう』という意識を両方合わさらないと効果が出ないと思うんです。ほとんど山に行かなくてごみ捨て場になったり不法投棄の現場になるのが山の中ですので、生活エリアの一部だという認識で目を光らせて利用していただければ火事の発生は防げるんじゃないかと思います」
高齢化している地域もあるので山の管理を請け負うのは難しいところもあると思いますが、山と共存するためにも行政と一緒に私たちが考えられればと感じます。