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約30年前に途絶えた無形民俗文化財「北条念仏踊」が復活 経験者がいない中…新しい世代が立ち上がる 香川・坂出市

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 坂出市東部に伝わり、香川県の無形民俗文化財に指定されている「北条念仏踊」。約30年前に途絶えた伝統の念仏踊が6日、復活しました。

 6日、坂出市大屋冨町の厳島神社で行われた「1200年式年祭」。境内では雅楽や舞いが奉納されました。

 さらに…披露されたのはこの地域に伝わる「北条念仏踊」でした。

 坂出市の松山地区を中心に伝わる「北条念仏踊」は雨ごいの成就を喜び、菅原道真を供養する踊りとされています。1956年に香川県の無形民俗文化財に指定されましたが、担い手の問題などから1994年を最後に活動が途絶えていました。

(北条念仏踊保存会/吉川文雄 会長)
「この北条念仏踊が復活できるようにと願っております」

 2月1日、北条念仏踊の復活に向けて、坂出市の大屋冨公民館に地域の人たちが集まりました。経験者がいない中、頼りは過去の映像。メンバーたちは映像を見ながら一つ一つ動きを確認します。

 その後、メンバーは土曜日の夜に集まって練習を重ねました。

(香川県教委 生涯学習・文化財課/佐々木涼成さん)
「文化財が残るというところももちろんうれしいことですし、地元の人たちが立ち上がるということもうれしいです」

 そして、本番当日、4月6日の午前。メンバーたちは午後の本番を前に、衣装に着替えるなど準備を進めていました。

 この衣装や小道具などは復活に向けて用意しました。

(香川県教委 生涯学習・文化財課/佐々木涼成さん)
「使えるものは使って、だめになっているもの、衣装とかは特に新調しました」

(「下知」役・香川良太郎さん[36])
「2カ月間あっという間ですね。動画見ながらなんで試行錯誤しながら。だからちょっとずつ踊りも、『今年良かったんかな? また来年こうした方がいいんじゃないか』という感じで、ちょっと変化していくかもしれないですね。まぁもうあとはやるだけなんでやってやろうって感じ」

「下知」役・三宅宏和さん[28])
「新しくここから始める、リスタート的な意味も込めてしっかりやっていけたらと思う」

 約30年ぶりの復活となる「北条念仏踊」。踊りの中心となる「下知(げんじ)」の動きから静かに始まり、次第に動きが大きくなっていきます。

 20代から50代の10人が5人ずつ2組に分かれて踊った約30年ぶりの「北条念仏踊」。人数の関係で、刀を持った『大打者(おおうちもの)』や『長刀振(なぎなたふり)』などはいない形での奉納となりました。

 それでも多くの観客と満開の桜が、地域の伝統の復活を温かく見守りました。

「下知」役・香川良太郎さん[36])
「もう感無量です。やり切った。『あっ、こんなに来てくれるんや』って。思ったより多かったですね」

「下知」役・三宅宏和さん[28])
「もうバッチリやり切れたと思います。新たなスタートというところでやり直して、伝統を作っていけたらと思っています」

(北条念仏踊保存会/吉川文雄 会長)
「もう120点満点、200点満点ぐらい本当に感激しました。盛大な拍手の中で納めることができてありがたく思っております。新しい世代に替わりましたのでまた仲間うちも増えてくるように思いますし。『大打者』とか『長刀振』とか、そういうものもぜひ目指していきたいと思います」

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