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【解説】高騰続くコメ価格 最も高いのは「岡山市」5kgで5252円も…なぜ?

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 今回の解説は、上がり続ける「コメの価格」についてです。総務省統計局が県庁所在地など合わせて全国の81の都市を対象にした小売物価統計調査によりますと、コシヒカリ5kgの3月の価格は岡山市が最も高く5252円となりました。なぜ岡山市が全国で一番高くなったのでしょうか。

(街の人は―)
「へーそうなんですね」
「いっぱい作ってそうなのに。岡山県産いっぱいあるのになんで高いんだろうって」
「どうして高いんでしょうかね」
「備蓄米を期待していますけど、なかなか目にしないので1日でも早く消費者に届けてもらうとありがたいなって」

県外から岡山県産コメの需要アップ

(松木梨菜リポート)
「こちらのスーパーでは去年と同じ時期と比べて倍以上の価格になっているということです」

 岡山市北区のスーパー、グランドマートで、コメ5kgの平均販売価格は2024年4月が1800円ほどでしたが、2025年2月には4000円を超え、4月25日時点で5000円ほどになりました。

 一方で、総務省統計局が県庁所在地など、合わせて81カ所を対象にした小売物価統計調査で、コシヒカリ5kgの価格が3月は岡山市が最高値の5252円に。

 なぜ岡山市が一番高くなったのか。その理由についてスーパーは……。

(グランドマート/岡本和恵 取締役)
「一つではないんですけど、岡山産のおコメがおいしいということで東京などから買い付けの方が来られているっていうのは私たちの業界で言われています。2024年の令和の米騒動でいつもより先に先におコメがなくなっているのが大きな要因だと思います」

 一つには県外からの需要が高まっているため、岡山県産のコメの価格が上がったのではないかと分析しています。こうした中で、こちらのスーパーで懸念されているのが……

(グランドマート/岡本和恵 取締役)
「岡山県産の中でも銘柄でいうと『あきたこまち』が欠品していたりもしますし。5月中旬まででそこからは見通しが立っていないというおコメ屋さんもあるので、私たちも不安だなと」

 今後のコメの入荷に懸念を持つスーパーはある対策に乗り出しました。

 岡山市北区のスーパーでは首都圏など都市部から岡山県産のコメの需要が増えたことで対応策を考えています。

(グランドマート/岡本和恵 取締役)
「県外産のおコメであったり、カルローズ米(米国産)。なんとか備蓄米などが販売できるように考えているところであります」

 一方で……

 岡山市東区でコメを栽培している「一所懸命農園」は40haの田んぼで約150tを生産。この時期、例年だと20tはありますが、2025年は10tほどとなっています。

(一所懸命農園/岩本英隆 社長)
「1件1件ちょっとずつ多いとかそういうところかなと思いますけど」

 今回、初めて県外に出荷も。

(一所懸命農園/岩本英隆 社長)
「2件で1tぐらいですかね。今まではこっちが『お願いします、お願いします、買ってください』ってみたいな感じでしたけど、去年と今年は放っておいてもコメを送ってくださいみたいな」

備蓄米出回りが鈍い理由は? 専門家「2024年問題で混乱の可能性」

 都市部からのコメの需要が高まり、価格の高騰につながっている1つの要因にもなっているようです。

 28日、農林水産省が発表した4月20日までの1週間でスーパーでのコメ5kgの平均販売価格は4220円で、16週連続で値上がりしています。

 2024年の同じ時期と比べると2倍以上高い状態が続いています。高値を改善しようと放出されたのが「備蓄米」ですが、なぜ価格が下がらないのか。

 備蓄米の1回目の放出で3月10日から12日に落札された14万tのうち、3月30日までに卸売業者からスーパーなどの「小売店」に届いたのは426tと全体の0.3%にとどまっています。

 先週、3回目の入札が行われ、農水省は夏まで毎月、放出する方針ですが、今後いつごろまでに安定的にコメが出回るのか、そして価格はどうなるのでしょうか。

 コメの価格を研究する専門家は備蓄米の出回りが鈍い理由について……

(ニッセイ基礎研究所/小前田大介さん)
「2024年運送の問題もあったのでそこで急きょ今までにないルートをつくって備蓄米を(輸送)しないといけない。そういうところの混乱もあったのかもしれないですね。かかって6月末とか7月とかになるんじゃないかと思います」

 では今後の価格は?

(ニッセイ基礎研究所/小前田大介さん)
「備蓄米の出回っているスピードからすると落ち着くまでに時間がかかるのかなと思っています。燃料費とかすべて上がっているのでそこを踏まえるとかなり難しいんじゃないかなと。落ち着いても(5kg)3500円ぐらいなんじゃないかなと」

農家は「コメ離れ」を心配

 岡山市東区の「一所懸命農園」では2025年6月の田植えの準備が進んでいますが、岩本さんは「先行き」を心配しています。

(一所懸命農園/岩本英隆 社長)
「あまりにもコメが高すぎると輸入米が入ってきたり学校給食の米飯を減らそうかとか、これをきっかけに全体の消費が落ちるのが怖いですね」

 農家は、コメの価格が高いとパンやパスタに主食を切り替えるなど将来的な「コメ離れ」につながることを心配しています。今後、消費が落ちると農家の生産も減っていってしまう可能性もあります。

 おコメが食卓にありつづけるために今後何が必要なのか、考えていく必要がありそうです。

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