甲冑(かっちゅう)姿の人物の作品で知られる高松市出身の美術作家、野口哲哉さん。世界を舞台に活躍する野口さんに最近の活動について聞きました。
(美術作家/野口哲哉さん)
「武将・侍・武士というと、どれだけそれが世界に対して特別なものか、特殊なものかということがよく言われるんですが、僕はどちらかというと、例えば侍や武士であってもどれだけそれが特別じゃないかということの方が印象に残るんです」
野口さんは甲冑姿の人物をモチーフにした作品をこれまで200点以上作ってきました。
(野口哲哉さん)
「小さいものだと小指くらいの5~6cmくらいのものから、大きいと1mくらいなんですが、大きくなると2~3カ月くらい掛けて1体作っています。小さいやつだといろいろなものを並走しながら作っていくんですが2週間くらい」
作品の多くは「無表情」です。野口さんのこだわりが詰まっています。
(野口哲哉さん)
「人間って人生の大半を無表情で過ごしているので、その無表情の中に奥行きや広がりみたいなものを僕は感じるんですね。『名前の付いていない感情』というんでしょうか。そういうナチュラルなものを追求したいなと思っています」
そんな野口さん。2026年2月3日から5月4日までイギリスの大英博物館で開かれた「Samurai」という企画展に出品しました。
(野口哲哉さん)
「コンテナ船が座礁してアヒルのおもちゃ・ラバーダックがたくさん海に流出したことがあったんですね。流出したラバーダックが海流に乗って世界中を旅しているらしいんですね。せっかくイギリスに旅をするのであれば、アヒルに乗ってイギリスに行ってもらいたいなと思って」
展示作品の一つ、「21st Century Light Series - Light of 2026」についてー
(野口哲哉さん)
「暗闇の中で人の顔を照らす物ってその時代の文明の尺度を表すんです。例えば昔はたき火だった。今はスマートフォンの光が人の顔を暗闇で照らすわけですね。僕はスマホはとても美しい機械だなと思って、それを絵にしたかったんです」
(荻津尚輝アナウンサー)
「良い意味でアンマッチ。設定はあるんですか? スマホで何を見ているんですか?」
(野口哲哉さん)
「これは人によって異なると思うんですけど、決して悪いものを見ているんじゃないと僕は願っています。とっても良いものを見ているんだと思います」
インスタグラムで野口さんの投稿を見ると、ここ数年で新たに描き始めたというカラフルな作品がありました。
(野口哲哉さん)
「暗い中で何かが1点スポットで浮かび上がっているというのにすごく僕は美しいなとひかれるものがあるんですね。暗い大和絵の中に何かが光って浮かび上がっているものを描きたいなというのがずっとあったんですけれども、それでレインボーのシリーズを最近描いています」
新しい作品を作り続ける野口さん、想像の可能性を残す「余白」を大切にしているそうです。
(野口哲哉さん)
「見る人にいろんな事を感じる余白を提供したいと思います。僕自身がこう見て! というのを押し付けることはできないですけど、人によっていろいろな解釈の幅のある作品であればそれはすごく理想的なことだなと思います」