病院の中で起きた殺人事件を隠したとして、理事長と医師の男が逮捕されました。遺族に「嘘の死亡診断書」を渡していたといいます。その理由は。
■殺害なのに“死因は肺炎”
青森県八戸署に入るのは、医療法人「杏林会」の理事長。そして、その弟でやはり医師の男です。
この2人、石山隆容疑者(61)と石山哲容疑者(60)が14日逮捕されました。容疑は事件を隠そうとした「犯人隠避の疑い」です。
ことは、おととしの3月にさかのぼります。当時、兄・石山隆容疑者が院長を務めていた八戸市の「みちのく記念病院」で殺人事件が起きたのです。
被害者は、弟・石山哲容疑者が主治医としてみていた当時、73歳の男性。同じ部屋に入院していた男から首を圧迫されて、歯ブラシの柄で顔面を刺されるなどして死亡したのです。
ところが、病院は警察に通報せず、死因を「肺炎」とする死亡診断書を作成。傷については遺族に「転んだ」と説明していました。
遺族に渡された死亡診断書の死亡の原因には、はっきりと「肺炎」と書かれています。
被害者の妻によると、死亡診断書は病院の外で歩きながら看護師から手渡されただけ。経緯の説明は一切なかったといいます。
ただ、遺体の顔を見た妻はこれが本当に肺炎なのかと疑問に思ったといいます。
警察が事件を知ったのは、病院関係者から通報があったため。そして司法解剖が行われ、死因は「暴行による頭部や顔面の損傷」だと判明しました。
なぜ、理事長と主治医の兄弟は事件を隠そうとしたのでしょうか。
警察は2人が共謀したものとみていますが、認否については明らかにしていません。