2025年度予算案を巡り、少数与党で予算成立に野党協力が不可欠である自民と公明は、日本維新の会、国民民主との協議がヤマ場を迎えた。年度内の確実な成立を前提とした場合、衆院通過の期限は3月2日で、与党は2月中旬までに、政策合意を目指す必要に迫られている。自民党の森山幹事長は15日、講演先の福島市内で、2025年度政府予算案について、「修正をしてでも、一つでも多い会派の理解を得て、年度内に成立させなければならない。来週は、どういう修正をしていくのか、極めて大事な時期を迎える」と述べた。少数与党の自民は予算案への賛成を得るため、立憲民主、日本維新の会、国民民主各党と予算案の修正を視野に協議を行っており、森山氏は「一つでも多い会派の理解をいただく」と意欲を示した。
国民民主の古川元久代表代行は2月11日、東京都内で開かれた党大会で、所得税の非課税枠である「年収103万円の壁」の引き上げ幅を巡る問題に言及し、自民、公明両党との政策協議について、「安易に妥協するつもりはない」と強調した。年収の壁を巡り、与党は昨年12月、「103万円の壁」を123万円にする方針を決定していた。178万円を主張する国民民主との乖離は著しく、協議は中断していた。1月22日、2月4日に、与党と国民民主の3党は政調会長会談を開き、協議再開で合意に至った。公明の西田実仁、国民民主の榛葉賀津也両幹事長は14日、「103万円の壁」の引き上げに向けて、異例の協議をした。西田幹事長は、「来週の半ばぐらいには合意を作らないと間に合わない。両者で一致したことを自民にも働きかけて3党で合意を作っていく」と打開策を明らかにした。
国民民主党内では、生存権を保障するという観点から生活保護の支給額を根拠に、「156万円」とする意見も出ており、合意に向けた妥協点を見出す動きが出てきた。同党の浅野議員は衆議院予算委員会で、「生存権を保障するために国が支給する額は156万円以上だ」と発言。また、国民民主の古川元久代表代行は5日、「103万円の壁」引き上げを巡り、「例え話として、生活保護費を基準にしてはどうかと助け船を出している。新しい提案があれば、検討するので早く出してほしい」と述べた。一方、公明の斉藤鉄夫代表は22日、「103万円の壁」の引き上げ幅を巡り、150万円以上は困難との認識を示した。生鮮食品の物価上昇率を例示し、「150万円ぐらいまでは根拠があるが、それ以上になるとなかなか難しい」と見解を明らかにした。
高校授業料の無償化をめぐっては、与党は、4月から公立・私立問わず所得に関わらず、年間11万8800円を支給し、公立高校を実質的に無償化する案を提示してきた。私立については、2026年度から所得制限なく、助成額は年間39万6000円に引き上げる案を示した。一方、維新は私立の就学支援金について、約63万円への増額を要望してきた。この政策に伴う必要な財源や約6000億円と見られている。維新の前原誠司共同代表は16日、出演した報道番組で、高校授業料を助成する就学支援金制度をめぐり、維新が求めている私立高に対する約63万円への増額に関して、「金額については柔軟に対応したい」と述べた。 ★ゲスト: 佐藤正久(自民党幹事長代理)、古川元久(国民民主党代表代行)、久江雅彦(共同通信特別編集委員) ★アンカー:末延吉正(ジャーナリスト/元テレビ朝日政治部長)