コメの価格高騰の影響が伝統文化にも。酒造りの現場が悲鳴を上げています。
■360年続く酒蔵から悲鳴
内ケ崎酒造店 内ケ崎啓社長 「平均して(酒米が2023年の)1.6倍の価格となっています」
そう話すのは宮城県で360年以上酒造りを続ける内ケ崎酒造店の社長・内ケ崎啓さん。去年9月の仕入れ価格は前の年を平均で6割も上回ったといいます。
内ケ崎酒造店 内ケ崎啓社長 「弊社としましては2月にちょっとだけ値上げをしました。それをやらなかったら完全に赤字になってしまうので」
今年の秋に仕入れる酒米は、さらに値上がりすると予想しています。
内ケ崎酒造店 内ケ崎啓社長 「耐えられる部分まではとりあえず耐えるけども、それを超えた分は結局無理なので、消費者にご負担いただくしかない」
コメの急激な値上がりは酒米農家にも影響を与えています。
内ケ崎社長によりますと、もともと栽培に手間のかかる酒米は主食用のコメよりも買取価格が高く設定されていましたが、去年からの急激なコメ価格の高騰を受け、価格差が逆転したものも出てきたというのです。
そこで、高く売れる主食用のコメ作りに切り換える動きも出てきているといるというのです。
一方で40年以上、契約農家として酒米を作り続けている高橋さんは…。
「酒米」農家 高橋三江さん 「儲かるからと言って、そういう結果ばかり求める稲作では逆に長続きしないのではないかと思います。酒屋さんだって原料米が高ければ、お酒を売る値段も当然高くなるし、そうなると日本酒離れを起こされたのでは、最後には生産者にしわ寄せが来るような形になると思う。適正な価格というのが一番大事なのかなと思います」