全国で進む新型コロナウイルスのワクチン接種について、岡山県和気町では進めていた中学校での集団接種を再検討することになりました。
和気町が中学校でのワクチン集団接種を「再検討」へ方針変更
(記者リポート)
「町立の和気中学校です、和気町は学校内で中学生に対し集団接種を行うことを検討していました」
和気町では高齢者への1回目のワクチン接種率が8日までで41パーセント。希望者への接種が7月末までに終わるとして、8月から2つの中学校で中学生への集団接種を検討していました。
しかし、9日に開かれた和気町議会全員協議会では――
(和気町 健康福祉課/松田明久 課長)
「当初、中学校では集団接種等について検討していましたが、集団接種、個別接種も含めて国や県の動向を見ながら慎重に検討をしていきたい」
和気町では実施を検討していた中学校での集団接種について8日、方針を変え「選択肢の1つである」という表現にとどめました。
議員からはさまざまな声が上がりました。
(和気町議は―)
「やっぱりワクチンの副反応の方が気になる方もいる。マスコミで報道されていることや専門家が偏っている」
「特例承認ですから治験が終わってなくリスクがある。個別接種を子どもたちにはした方いいのではないか」
「コロナ差別、ワクチン差別、のけ者にならないように十二分に気を付けてほしいと思う」
(和気町教育委員会/徳永昭伸 教育長)
「この対応については学校と連携を密にして、子どもたち1人1人の人権が真に尊重されるような対応をしていきたい」
変異型ウイルスへの対応と接種を早く終えることを目的に進めていた中学校での集団接種。再検討となったことで10月末までとしていた希望者への接種完了目標にも影響する可能性もあります。
(和気町/草加信義 町長)
「将来がある子どもたちですから副反応を保護者も心配している。そのことが解決すれば1日も早く接種に踏み切っていきたい」
中学校でのワクチン集団接種 全国の自治体では抗議も
和気町の方針変更には全国の自治体の動きが影響しています。
京都府の伊根町は高齢者への接種が8割を超えるほど進んでいます。6月6日、接種対象を12歳まで広げ実際に高校生も接種を受けました。しかし問い合わせ窓口のコールセンターへの電話が殺到し、このことが和気町にも影響しました。
伊根町では翌日も抗議が相次ぎコールセンターは閉鎖に追い込まれました。抗議の電話やメールは9日時点で200以上です。吉本町長は「抗議の電話が殺到し職員が対応に追われている」と話しています。
15歳以下の接種は5月、厚生労働省がファイザー製ワクチンの対象を拡大しました。ただ国内での12歳から15歳の治験データはないため不安に感じると話す人がいると思われます。
全国では神戸市が中学・高校での集団接種を検討し、多くの意見が届いています。
そして総社市でも市長の発言に多くの関心が寄せられています。
小中学生のワクチン集団接種に対し、SNSでは多くのコメントが
(片岡市長のツイッター)
「小学6年生と中学生は、学校の教室等を利用した学校集団接種に致します」
6月3日、総社市の片岡市長は自身のSNSでファイザー製ワクチンの対象となる12歳から15歳までの小中学生について学校での集団接種を行うと発言。この発言に対し9日時点で1300近いコメントがありました。
コメントを受け片岡市長は、専門家会議を開き慎重に検討したいとしています。
(総社市/片岡聡一 市長)
「(小中学生の集団接種は)市民、父兄ものすごく不安が強い、不安の中で進めてはならない。子どもを守ることですから慎重に審議していきたい」
萩生田文部科学大臣は8日の会見で「学校で直ちに集団接種は考えていない」と話し、慎重な姿勢を示しました。