初夏になると身近な水辺で見られるハラビロトンボをご存じでしょうか? 軽やかに舞う姿の裏には、子孫をつなぐための命の営みがありました。生き物大好き記者が取材しました。
(記者リポート)
「おお、いっぱいいますね」
岡山県総社市黒尾の「砂川公園」を飛んでいたのは、体長3センチから4センチ、ハラビロトンボのオスです。額は光沢のあるインディゴブルー。思わずみとれてしまいます。
オスは草にしがみついて縄張りをつくり、メスとの出会いを待っています。
羽化したばかりオスは黄色い体をしていますが、成熟すると黒ずみ、やがて灰色がかった青色になります。
一方メスの黄色い体は、ほとんど変化しません。
ハラビロトンボはオスとメスで色彩が異なります。
ハラビロトンボは初夏から夏にかけ水草が生えた湿地に生息しています。
腹が扁平であることから「ハラビロ」と名がついています。
あっ、オス同士がなにやら争っています。
ハラビロトンボのオスは他のオスが縄張りに入ると激しく追い払います。
腹を反らせる独特のポーズ。オスに時折みられる、このホバリングを交えた飛び方は「巡回飛翔」と呼ばれる縄張りを守るためのパトロール行動です。
ハラビロトンボの交尾は、オスは腹の先でメスの首のあたりをつかみ、メスは腹の先を延ばして精子を受け取ります。交尾時間は30秒程度です。
草の影の目立たない場所では、1匹のメスがしきりに腹の先を水に突っ込んでいます。産卵しているところです。
命の営みは果てしなく続きます。