防災の話題をお伝えする「こつこつ防災」です。
今回は防災の視点で「まちを歩く」取り組みについてです。皆さんは住んでいる地域に残されている「災害の記憶」を巡ったことはありますか?
災害への備えの第一歩
(香川大学 危機管理先端教育研究センター/長谷川修一 センター長)
「自分の地域を深く知るということが、災害への備えの第一歩だと思っています。その土地で過去どういう災害があったかというのをぜひ調べてもらいたいですね」
香川大学危機管理先端教育研究センターのセンター長を務める長谷川修一さんは、自分が住んでいる町を歩いて過去にあった災害の歴史を学ぶ「防災まち歩き」の重要性を訴えています。
(香川大学 危機管理先端教育研究センター/長谷川修一 センター長)
「地域というのは何度も災害に遭っているわけなんです。災害でできた土地に暮らしているということをまず知ってもらいたい、それがまち歩きの狙いなんですね」
「災害の記憶」を巡る取り組み
長谷川さんはこれまでに高松市鬼無町や高松城下の他、倉敷市真備町で、香川大学の学生と地域住民や子どもたちが「災害の記憶」を巡る取り組みを企画してきました。
(香川大学 危機管理先端教育研究センター/長谷川修一 センター長)
「やった後、いろいろ感想聞くと『まちを見る目が変わった』とよく言われますね。それから被災者の方からは『なぜ災害をそこで受けたかということが腑に落ちる』ということを言われるんですね。こういう理由で災害が起きたのかということが納得できる、腑に落ちる、そういうまち歩きを目指してます」
地図で学ぶこともできる
「災害の記憶」は地図からも読み取ることができます。
国土地理院の地図では、倉敷市真備町には災害の記憶が分かる地図記号があります。これは、過去にどんな災害があったのかを伝える「自然災害伝承碑」があることを示す地図記号で、2年前から使用しています。
この記号をクリックすると、1893年(明治26年)の大洪水で頭の高さまで水位が来たという供養塔の写真と災害の説明を見ることができます。
(香川大学 危機管理先端教育研究センター/長谷川修一 センター長)
「手がかりですね。どういう災害があったかという小さな記事がありますので、そういうものを参考にしたらいいと思います」
また、地図では地盤の高さを比べることもできます。
(香川大学 危機管理先端教育研究センター/長谷川修一 センター長)
「ここは周りよりなぜ高いんだろう、ここはなぜ低いんだろう。まち歩きしながら昔の地形を思い浮かべながら歩くんです」
「ジオサイト」を巡るツアーも企画
長谷川さんは、地上だけでなく海の上から、土地の成り立ちがわかる地層「ジオサイト」を巡るツアーも企画しています。このような取り組みを通じて、子どもたちを中心に地域への関心を高めてほしいと考えています。
(香川大学 危機管理先端教育研究センター/長谷川修一 センター長)
「何でここでそういう災害が起こったかというのを見直しているのが、今後の備えにつながると思います」
国土地理院の地図では岡山県、香川県ともにそれぞれ15カ所が「自然災害伝承碑」として登録されています。
新型コロナの影響もあってなかなか外を出歩けないですが、地図上で地域の「災害の記憶」を巡ってみてはいかがでしょうか。