お遍路さんのための宿泊施設「遍路宿」。香川県高松市の遍路宿が施設を改修していたところ、「米俵」のようなものが天井からつるされているのが見つかりました。一体何なのか……取材しました。
四国霊場第85番札所八栗寺の麓にある遍路宿「高柳旅館」。2022年11月から大規模な改修工事を行っていますが……。
(記者リポート)
「去年11月にリフォームを始めた所、天井をはがしたら米俵状の物がでてきました」
2階の屋根裏で見つかったのが、長さ約60cm、直径30cmほどの米俵のようなものです。上からわらの縄でつられていて、中央あたりには、長さ50cmほどの矢が刺さっています。
この建物は約100年前に建てられました。3代目の高橋さんは47年前から遍路宿の経営をしていますが、改修で2階の天井を取り外すまで、その存在を知りませんでした。
(高柳旅館/高橋秀信 代表)
「ハチの巣だというふうに大工が言いましたんで、『はぁ?』という感じだったんですけど」
この米俵のようなものは何なのか? さぬき市へんろ資料館の館長で、長年、四国遍路を研究している片桐孝浩さんに伺いました。
(さぬき市へんろ資料館/片桐孝浩 館長)
「あれは、お遍路さんが本堂とか大師堂に納め札を納めるんですけど、その納め札を俵の中に詰めて屋根裏につるした『俵札』だと思われます」
片桐さんによると家や宿などで接待を受けたお遍路さんは、そのお礼としてお札を家や宿に渡す風習があります。かつては、このお札を俵に詰めて屋根裏につるすと家を災いから守る、とされていました。
しかし、最近ではほとんど行われておらず、実際に屋根裏にぶら下がっているものを見ることはとても珍しいということです。
また、刺さっていた矢については……。
(さぬき市へんろ資料館/片桐孝浩 館長)
「他の納め札とは違って、あの辺りが那須与一の弓矢の言い伝え・伝承が残っていますので、もしかすると矢を納め札の俵に刺すことで、家を守っているという意味ではないかと思います」
高柳旅館は2月中旬に俵を下ろして中身を調べる予定です。中にお札が入っていれば、いつ、どこからお遍路さんがやってきていたのかがわかるそうです。