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【特集】小学校と隣接した特別支援学校が開校 障害の有無にかかわらず、一緒に学び交流できる学校に 香川・小豆島

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 この春、香川県の小豆島に知的障害がある児童・生徒が学ぶ特別支援学校が開校しました。最大の特徴は小学校と隣接していること。障害がある子どもに専門的な教育を行いつつ、障害のあるなしにかかわらず、ともに学び、交流できる学校を目指します。

 2023年4月、小豆島町池田に開校した「香川県立小豆島みんなの支援学校」。多くの子どもたちがスクールバスで登校しています。

 この学校には、現在、知的障害がある島の小・中・高校生12人が通っています。2022年度までは、ほとんどが住んでいる地域の学校の特別支援学級に在籍していました。

 香川県教育委員会が島の保護者らの要望や障害の多様化を受けて開校したもので、一人一人の特性に合わせた専門的な教育を行っています。

(小学2年の児童の母親)
「少人数で過ごしているというのも本人にすごく合っていると思う。無理のない範囲でやっていただけているのでそれがすごくよかった」

(小学5年の児童の父親)
「前の学校に4年生まで行っていたので友だちとか知っている子とかがいる中で新しい学校に来るというところは少し不安なところもあったんですけど、小学生のあとに中学生が来年・再来年にあるんですけど一貫でこうした教育が受けられるのは親としてはありがたい」

小豆島みんなの支援学校の「教育」と「支援」

 小学生は7人で、学年にとらわれず、学習のレベルに合わせてグループを作り授業をすることもあります。

 小学1、2年生の「ことば・かず」という授業では、「さるかに合戦」の話を使って言葉を覚えたり数を数えたりします。

(小豆島みんなの支援学校/西山雅代 教務主任)
「言葉の獲得がまだの子が多いので、歌に乗せてとか、動作に合わせて、言葉とか意味とかが獲得できるように、繰り返し繰り返し。楽しく参加できる。音楽の力を借りて」

 中学生以上は、就労に向けて働く意識や力を身に付ける「作業」という授業があります。

 この日、中学生3人は牛乳パックを使って紙すきを行っていました。撮影が気になりついついカメラマンの真似をしてしまう子も。

 高校生2人が受けているのは学習や生活での困難を改善・克服する「自立活動」という授業。

 手足などが不自由な高校3年生の森川美優さんは自分で自分の身体を支えるトレーニングをしていました。

 「小豆島みんなの支援学校」は原則、小・中学生が対象ですが、島外の特別支援学校に通うのが難しい高校生も受け入れています。

 森川さんは、医療的なケアが必要で、小学1年生のときから自宅で週に3日、「訪問教育」を受けてきました。

(母/森川あかりさん)
「子どもも学校に通う、家から外に出るというメリハリがついているので、外に出るっていいことだなって思っていて、その変化は子どもも感じているとは思う」

子どもたちが「通路」を通って互いの学校を行き来

 この春開校した小豆島みんなの支援学校は池田小学校と隣接しています。

 両校は通路でつながっていて、子どもたちは「通路」を通って互いの学校を行き来することができます。

(小豆島みんなの支援学校/三宅貴将 教頭)
「お互いの学校が自分たちの学校のように『当たり前の感覚で行き来』できる。そこが子どもたちの交流をどんどん加速させるものだと思うので、この通路はその象徴になるのかな」

 障害の有無にかかわらずともに学ぶ「インクルーシブ教育」の重要性や保護者からの要望を踏まえ、池田小学校の隣に開校することになりました。

 香川県教委によると交流を目的に、隣接する場所に新たに校舎を建てるのは全国的にも珍しいということです。

 支援学校の児童たちが池田小学校に移動していきます。この日は、池田小学校と支援学校の全児童で縦割り班を作って活動をする「なかよし班活動」の日。

 運動場や体育館、教室を使ってドッジボールやしっぽとりなど事前に話し合って決めた遊びをしました。

(小豆島みんなの支援学校/関 虹輝さん[小学2年])
「ドッジボールが面白かったです。けつに当てられて、めちゃくちゃ痛くなかったです」

 ドッジボールでは高学年の児童は利き手ではない手で投げるなど低学年や支援学校の児童への配慮もみられました。

(池田小学校/平野卓 校長)
「まだそこまで親しさが出ているかと言われると、そうではないけど、わりと違和感なく、いるのがある意味当たり前というか、そういう自然な形というのはできているのかなと、これからもっともっと、名前で呼び合えるとか、そういうことができていければ」

(小豆島みんなの支援学校/林省吾 校長)
「同じ空間・同じ時間にいるということが大事だと思うんです。お互いを知っていたら、大人になってでも、小さい頃の知識や経験は生きるので、将来的には非常に貴重な経験。小さい頃から同じ学習をしていたり、ふれあいをしていたら、きっと偏見や差別はなくなっていくと思う」

「みんなで楽しむ」初めての運動会!

 5月27日の朝、「小豆島みんなの支援学校」の小学生が、隣接する池田小学校の運動場に向かいました。

 この日は開校して初めてとなる運動会。池田小学校と合同で行います。

(池田小学校/児童代表)
「今年から支援学校の友だちとも交流が始まりました。勝ち負けもいいけれどみんなで楽しむことが大切ですね」

 支援学校の児童7人は池田小学校の児童に混ざって、徒競走や玉入れなどそれぞれの学年の種目に参加しました。途中からは中学生と高校生も応援に駆けつけました。

 5・6年生の集団演技では、支援学校の児童2人が音楽に合わせて大きく旗を振りました。

(小豆島みんなの支援学校/佐々木完さん[小学6年])
「みんなに見てもらえるように頑張ってやりました」

(佐々木完さんの父親)
「びっくりしました。やれるやんって感じで」

(小豆島みんなの支援学校/森本結乃さん[小学5年])
「運動会で頑張りました。(Q.かけっこはどうでしたか?)足を頑張りました」

(小豆島みんなの支援学校/三宅貴将 教頭)
「子どもたちの表情が抜群に良くて、そこが見られたっていうのが一番良かったです。小学校と隣接した特別支援学校というのはかなり全国的にも珍しいと思うんですけど、その環境を生かした取り組みがこれからスタートするので、子どもたちに還元できるようにしていきたい」

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